製造部門を擁するサービス企業を標榜する昭和電機

昭和電機産業株式会社

 

  •  海外拠点の充実、作業環境改善提案、ちょこっとエンジニアリング・・・ファンの獲得・拡大を狙う、昭和電機の、これら諸施策の原点は何か。2019年の取り組みの方向性と合わせ、柏木健作社長にヒアリングを行った。

 

 

  •  「当社は、送風機やミストレーサなど、いわば、装置への組み込みを通じて成長を遂げてきた機器メーカーだった。が、リーマンショック以降は、顧客の層そのものを広げていく活動も視野に入れ、製造部門を持つサービス企業を標榜してきている」というのが昭和電機の現在の立ち位置だ。
  •  海外拠点はタイを皮切りに、韓国、台湾、そして昨年はアメリカ、今年3月(予定)にはメキシコと、総計5拠点を数えるまでに拡大しようとしている。
  •  「顧客の海外展開に伴い、当社の製品も海外で使用されるようになり、そのフォローに努めるとともに、他社製品のメンテナンスにも踏み込んで信頼を得ることに配慮してきた。その後、顧客からの『助かる』とのお声を頂戴するなかで、海外はもちろん、日本でも実践していくようになった、これが『ちょこっとエンジニアリング』に通じていく」。
  •  新規開拓という面では、「風」を扱うメーカーとして、「冷やす」「飛ばす」「吸い付ける」「循環させる」という特性を活かし、作業環境改善提案に昨年から本格的に活動を開始した。 化学物質のリスクアセスメントから派生する新製品開発へ
  •  「改善提案の端緒とも言えるが、2016年末ごろ、樹脂の加工メーカーから局所排気の設計、施工ができるか、との問い合わせがあった。化学物質を扱う事業所に対し、その有害性を把握し、見える化する法律が施行された年で、以降3年間、我々は、この化学物質のリスクアセスメントに関連し、ディーラー、ユーザーを対象として講習会を実施。この過程で、お付き合いのなかった医療関係者や研究機関、検知器メーカーなど、交流の幅が広がっていくようになった」。
  •  拡販される代表的な製品例ではプッシュプル型の換気装置「ベンチレーサ」が挙げられるだろう。化学物質を扱う業界すべてに関わりを持つようになり「『風』を使って作業環境を改善していく大きな流れ」を形成し「昨年4月には、昭和電機として、作業環境測定機関に登録。顧客の作業環境を把握し、公的な報告もすべて行えるようになった」と言う。
  •  作業環境測定士の資格取得に熱心に取り組み、現在、1種で1人、2種で6人が資格を持つ。
  •  「2019年の試みとしては、競争他社に置き換えられないための海外戦略、ちょこっとエンジニアリングの充実を図りつつシェアアップを図る一方、化学物質のリスクアセスメントから派生した新製品の開発を進め、新たな層の獲得に努めていきたい」。