エフ・ピー・ツールの技術陣紹介。今後は特殊対応も強化。

エフ・ピー・ツール株式会社

エフ・ピー・ツール株式会社

後列左から、仲野、川島、林、石塚 前列左から、石本、山崎、相原、小川(敬称略)

エフ・ピー・ツールの松本社長に面談し、上半期を跡付けてもらっていたところ「今回のメインは、弊社の技術陣の紹介をお願いしたい」との依頼を受け、技術スタッフへのインタビューを詳細に行うことになった。

 リーマ専業メーカーと言えば、エフ・ピー・ツールを思い浮かべる人は多いだろう。1944年の設立以来、穴精度への拘りでは群を抜くメーカーと言っても過言ではない。
 今期に入った12月以降の上半期について「計画数字通りに進捗しており、上半期は対前年期比で10%アップを達成した。下半期でさらに数%の上積みを図ることができれば、売り上げは過去最高を記録することなる」と好調に推移する現状を松本社長は語る。
 自動車分野、特に新型エンジンに関わる需要からのリピートは順調なようで「新規ラインからのニーズが発生してくれば、プラスアルファも可能になる」。コロナ禍とは言え、訪問可能企業、エリアは拡大し、営業的には、国内需要の掘り起こしに注力していくタイミングを迎えていると言えようか。
 営業提案での差別化のポイントは言うまでもなく「製品力」に体現できる技術力と言うことになる。取材に応じてくれたのは、技術部を統括する林部長、研究開発課の相原課長代理、生産技術の川島課長代理の3人だ。
 林部長は「技術部は開発、生産、FA(設備開発・自動化)の各技術部門に分けられ、総勢9人のスタッフで構成される。リーマは、標準でアルミ材用、高硬度用、超精密加工用など、被削材別に手厚くラインナップしており、今後は、特殊対応でも強化していく計画。また、海外からの案件も発生し始めている」と言う。
 話題性という点では、昨年のメカトロテックで披露された極小径の超硬ドリル「CDR(φ0・05~1・00)、CDRP(φ0・10~1・00)、0・01ミリとび」が記憶に新しい。
 相原課長代理は「以前から、極小径のドリルは手がけてきたが、穴の評価が難しい。寿命を伸ばしていくための形状づくりも容易ではない。新製品である今回のCDR/CDRPは、おかげさまでサンプル出荷を通じて、少しずつ、受注に結び付いてきた。今後は、徐々にラインナップを充実していきたいと考えている」。
 数年来の動向である微細領域の広がりは、技術部に新たなテーマを与えている。
 川島課長代理は「微細化は測定の難しさを伴ってくる。この課題に対し、自動化を追求し、ロボットとの連携も視野に入れている。また、我々の部署では、AI技術の進化をどのように研削に取り込んでいくかと言うテーマで、微小な研削=品質保証の画像認識+AI技術の追求にも取り組んでいる」と微細化における品質保証とAI技術のシナジーを見据える。
 このほか、仕事における連携、チームワーク強化のため、全部署から動画を含めた情報を集約した、仕組みづくり構築にも余念がないようだ。
 工具の生産で利益を生み出す「源泉」と言われるのが自社開発の研削盤だが、その開発、製作、改良は、FA課が受け持つ。
 「シェア拡大・売上UPを見据えたとき、それに対応し得る生産能力確保は必須。人員の手当てが難しい近年では、自動化を梃子に、限られたマンパワーで生産量を増やす必要があると考えている」。
 自社設備の可能性を日々追求し、生産効率向上に向けて研鑽を積む。その取り組み姿勢には、リーマ専業の「屋台骨」を支える発想が横溢する。