サンドビックコロマントが耐熱合金加工セミナー開催。販売会社代表ら30人が参加

サンドビック株式会社

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実削デモ加工風景(旋削加工)

 

  •  サンドビックコロマントカンパニー(高屋政一カンパニープレジデント)は6月15日、名古屋市名東区の同社本部においてツーリングパートナーを対象に技術セミナーを開いた。航空機産業を中心に耐熱合金やチタン合金の加工ニーズが高まっており、これに応えるべく開催したもので、販売会社代表ら約30人が出席。製品説明と実削デモを通して同社の最新動向に触れた。
  •  はじめに耐熱合金の被削性について説明があり、加工技術のポイントとして、工具寿命と加工能率を両立させる方法と、同社が採用する切り屑処理のための高圧クーラントシステムが紹介された。
  •  耐熱合金の固まりである航空機エンジンは様々な部品で構成されており、形状も薄肉・複雑で加工しづらいのが特徴。実際生産に際しては高性能大型工作機械がメインとなり、サイクルタイムも長く、また、加工部位あたりの工具寿命は短く、設定条件の変更も容易はでない。工具の刃先の形状に関しては「ポジティブなすくい角」「小さなホーニング」「小さなランド幅」が良く、「高温硬さ」「切刃強度」「コーティング層の密着性」が材種の特質として理想的だという。
  •  一方、被削材(耐熱合金やチタン合金)そのものが高価なため失敗が許されず、「検討当初より最良の加工方法とツーリングに投資することが重要」と指摘する。

 

 

  • 加工技術のポイント
  • ①工具寿命と加工能率を両立させる方法 耐熱合金加工では境界磨耗による損傷をいかに抑えるかがポイントで、その際重視すべき点が「切込み角」。最大切り込み量はチップ径の15%、切込み角45度が最適とされる。したがって、切込み角45度の四角いチップ(SNMG)か、可能であれば同じ角度の丸駒チップ(RCMT)を使用したい。切り屑の厚みも薄く、より送りを上げて加工できる。丸駒チップでればさらに効率的で、磨耗による損傷がより小さくなる。

 

  • ②加工現場の問題点を解消
  •  加工現場で問題になるのが切り屑処理のこと。除去のため一時中断するロスは大きく、同社では高圧クーラントシステムを適用し、高速吐出を可能にするノズルや切削ポイントに到達する高精度ノズルなど独自開発の専用工具を導入して高効率な生産を実現している。

 

 

  • 「コロターンプライム」、旋削加工に威力を発揮!
  •  また、本セミナーでは「旋削工具史上最大のイノベーション」として、「コロターンプライム」を紹介。これは「引き加工」の採用により、全方向つまり、外径・端面・隅すべての加工ができるのが特長。切り込み角を小さくして高送りも可能(最大1.2mm/rev)で、サイクルタイムの削減、チップの長寿命化、総工具数の削減、切り屑のつまり防止などに対応する優れものだ。  エアロスペースビジネス推進部の四本秀二マネージャーはひと通り説明を終えると、「成長著しい産業分野であり、加工技術が熟成すれば、いずれ量産体制に入るだろう。ご参加各社に弊社製品の特長を知っていただければと思う」と述べた。

 

「切込み角」の違いによる切り屑の形状

「切込み角」の違いによる切り屑の形状