ジヤトコツールのワルター製「ヘリトロニック ビジョン400L」の評価。エンドミルの再研磨・製造で、速さと高精度を実感

ジヤトコ ツール株式会社

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ビジョン400Lを操作する杉山リーダー

 

  •  ジヤトコツールにワルター製「ヘリトロニック ビジョン400L」が稼働スタートして半年が経過し、どのような成果を享受しているか、オペレーターの杉山和之リーダーにヒアリングするとともに、吉川豊社長に「上期の成績」をなぞってもらった。

 

 

  •  今年4月、ジヤトコツールの現場に人気上昇中のワルター製「ヘリトロニック ビジョン400L」が導入された。近い将来、エンドミル製造の強力な武器としての位置付けもなされている。
  •  「まずは、エンドミルを中心に再研磨を手がけ、徐々に製造のウェートを上げてきた。11月初旬の時点では、再研磨8割、製造2割の構成になる」とオペレーターの杉山和之リーダー。扱い始めて従来のヘリトロニックパワーとの違いは、速さ、そして精度になると言う。
  •  「たとえば、ダブルRの付いた径20ミリのエンドミルの製造時間は、パワーだと4時間、ビジョン400Lでは32分。砥石チェンジャー付きのため、工程ごとにボタンを押すだけで済み、荒と仕上げといった工程を分ける必要がない」。
  •  荒取りが1台でできるメリットが奏功する。が、シミュ―レーションも2倍近い速さ、と杉山リーダーは指摘する。シミュレーションが終われば、半ば完成したようなもの、とも付け加える。
  •  「あと、日常的には砥石管理さえしっかりと行っていればいいと思う。だが、精度面での一層のこだわりは、二―トレックス、京都ダイヤといったメーカーとのコラボによる砥石の開発に置く。請け負う工具は、ロット的には10本以下がほとんどで、特殊モノが中心を占める。ワークに合わせた総型形状が多い」そうだ。
  •  午前8時から午後5時、午後8時から午前5時の「2交代制」を敷く。
  •  「ビジョン400Lの導入でワルター機は計4機となり、再研、製造モノ合わせて月産2000本を手がけている」のが「ワルター班」の仕事量だ。
  •  「速さで勝負をかけられる以上、納期で困っているユーザーへのアプローチで優位性を発揮できる。さらに一歩、進んで(ユーザーに対する)納期保証という考えも念頭にある」。
  •  杉山リーダーにとっての課題は、ツールスタジオというソフトへの習熟にある。
  •  「標準モノの延長ならば、他社製の工具研削盤でも十分に対応可能。『最強のマシン』ならではの、アドバンテージを引き出していくうえで、ソフトの使いこなしは避けて通れない」。
  •  ジヤトコツールの上半期の状況について、吉川豊社長に水を向けると「4月~6月は対前年比10%以上の伸びで推移し、7月以降も前年比プラスで着実に足元を固めつつ、下半期に入っている現在では、今期目標の計画数字も射程に入ってきた」と言う。
  •  プラス要因を分析すれば、「エンドミルの拡大」にあることは間違いないそうだ。
  •  「全体的にも少しずつだが、製造モノが増えてきた。ビジョン400Lを現場に据えたことで、営業面で活かさない手はないと考える。特に短納期対応という差別化で、受注でアドバンテージを上げていきたい」。  吉川社長は、エンドミル製造向けの新たな設備導入の検討に入った。

 

ローダーも組み込んで、生産性にも配慮されている

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