三井精機工業の加藤新社長インタビュー。5年ぶりの生え抜き社長誕生

三井精機工業株式会社

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加藤社長

  •  三井精機工業の新社長に6月28日付で加藤専務が昇格、就任した。5年ぶりの生え抜き社長誕生であり、自社への思いも強い。就任の抱負や課題、方向性等、トータルな取材を試みた。

 

 

  •  やはり「人ありき」と言い切る。
  •  「月並みかもしれないが、安全で、活き活きと、誇りをもって働ける会社を目指したい。現在、単体で600人弱のスタッフが働いているが、35歳以下が34%、60歳以上が14%という構成で、30台半ばから50歳までの人が少ない。ベテランが若年層をいかに育てるかが焦点になる」。
  •  方針としては、従来からの延長上を見据える。
  •  「当社はジグボーラーメーカーであり、一貫して、高精度を裏打ちする高剛性、高機能を追求してきた。顧客ニーズに対応したカスタマイズ化が特徴となってきており、およそ9割を占めるまでになっている」と言う。
  •  一方、コンプレッサは「Zスクリュー」に見られるように「高効率、長寿命、高品質で強みを発揮しており、最近では、環境負荷低減を目指し、CO2削減、廃油などの排出物の削減に努めている」現況に言及するとともに「海外への単体売りの圧縮機ビジネスを追求し、海外シェア拡大を視野に入れている」そうだ。  工作機械分野は国内が6割、海外が4割の比重。
  •  「そのうち半分以上が北米で、しかも90%が航空機分野向け。中国、台湾、韓国などのアジア圏は精密部品分野で実績が高い」。
  •  現場では、注残の一日も早い解消に取り組んでいるが「加工、組み立てともに高い技術技能を要求される一品ものが多く人数の多い20代のスキルアップは避けて通れない。全てのリードタイム短縮が狙いだがまずは、工程ごとの生産効率アップに注力していきたい」。
  •  同社の精度を左右するキサゲなどは、スキル抜きには考えられないだろう。
  •  では、営業面での課題はどうか。
  •  「受注がスローになっている局面にあり、新製品の種まきは、従来にも増して重要になっている。国内は、金型、精密部品、航空機それぞれメインの3分野で、ほぼ均等にシェアできており、それぞれの分野でマシニングセンタ、ジグ研、ネジ研それぞれの新製品アピールに邁進していきたい」。
  •  今期がスタートして4カ月が過ぎた。
  •  「2019年度を占うと、景気循環だけに留まらない、たとえば米中貿易戦争やイギリスのEU離脱をはじめ、生産地の変動等の市場環境の変化も起こりつつある。スピーディーな対応力は、是が非でも獲得していきたい」。

 

 

  •  加藤新社長は昭和31年4月、山梨県に生まれた。昭和54年に慶応義塾大学機械工学科を卒業したが「3年の時に工場実習として2週間、三井精機工業に身を置き、自由な雰囲気に接した」ことが、将来の身の置き場を決定したようだ。