案件を携え、ワーク、図面を持参して来場した人が目立ったと服部日進工具東部グループ長。

日進工具株式会社

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取材に応じてもらった服部東部グループ長

JIMTOF終盤に入った11月12日、日進工具ブースにお邪魔して、服部東部グループ長にブースでの手応えをヒアリングした。

 コロナ禍が収束した訳ではない。
 「この点でもリスクを背負って来場してくれていることを忘れてはいけないと思う」と語りながら「案件を携え、ワーク、図面を持参して来場した人が目立った。オンラインでは理解し得ない温度差を汲み取ることができ、フェース・トゥ・フェースのメリットを肌で感じた」そうだ。
 服部東部グループ長の率直な感想だろう。
 工具単体に拘っている人の来場が目立ったとも語った。
 「加工面品位、能率、成功率・・・いろんな切り口で本音トークが花開いた。工具を含む単価アップは仕方ないものの、何をどのように変革すればペイできるか、来場者は模索されていた」と言う。
 訴求方法については、たとえば「弊社のCBN工具、PCD工具で何がもたらされるのか、明確に打ち出すことが大切。高硬度鋼に対し、長時間にわたって、高精度加工がなぜ可能なのか。単に製品PRではなく、工具を最大限活かすための一歩、突っ込んだ技術的な相談ごとに応じていくことが肝要になる」と強調する。

「高付加価値製品の提供」で注目の3製品
JIMTOF機に販売スタート
 ところで、日進工具の今回のJIMTOFのテーマは「高付加価値製品の提供」にあった。注目製品を追っていこう。
 まずはJIMTOFを機に販売スタートした無限コーティングプレミアムPlusのロングネックラジアス。
 「φ0・1~φ2・0までの評判が良かったのを受け、φ3・0~φ6・0までの要望を具体化し、74アイテムを追加、計205サイズとなった」。
 高硬度鋼の長時間加工と併せて底面の加工面品位の両立を高い次元で実現した。
 12月にサイズバリエーションの拡大を図った鏡面加工用のPCDボールエンドミル「PCDRB」も見落とせない。
 「1・5R、2・0R、3・0Rを追加した。加工形状によっては径方向の切り込み量を大きくとれ、加工時間短縮にも直結する。精密なマシンが増えてくるなかで、いかに機上で完結させるかが問われてくる」。
 1月に規格拡大される高硬度鋼高能率加工用小径3枚刃ロングネックボールエンドミル「MRBSH330」も要チェックだろう。
 「0・1R~1Rだったのを3Rまで拡大する。前加工時間の短縮というテーマのもと、切込み量、送り速度を上げられ、その結果、加工時間短縮や高硬度鋼の長寿命加工に繋げられる」。
 最後に服部東部グループ長に注目すべき今後の需要動向について聞いてみると「自動車のEVなどエコカーに絡むセンサーなどの試作・開発案件や半導体の検査関連需要の拡大が期待できるだろう」との回答が返ってきた。まさに旬だろう。