サカイの村上相談役が退職。昭和29年入社の在職63年と4か月。一貫した意志は「切削工具専門」で運営

株式会社サカイ

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村上喜与子相談役。4月20日付でサカイを退職することになった

 

  •  サカイの村上喜与子相談役が4月20日付で退職することになった。
  •  「酒井家と村上家はご縁があり、戦前、姉がお手伝いながら、勤めていたこともあって、私は昭和29年、19歳の時に入社した。電話ばかりか、はがきでの注文もあった。経理をしながら工具の『出物』の洗いも手掛けたりした」と若かりし時代に思いを馳せる。
  •  在職年数で見たとき、63年と4か月になると言う。創業家でない業界人で、これほど長く在職している人は全国でも珍しいのではないだろうか。
  •  「口に出して言えないようなことは、たくさん、ある。しかし、どれも思い出。一番、大きな転機は、昭和62年に、創業者の酒井三郎社長が脳梗塞で倒れたときだろうか。18歳で入社した今の基和社長とも、今後を見据えてどのようにしていくか、いろいろと悩んだ時期である」と振り返る。
  •  平成元年に基和社長30歳の時点で組織変更がなされ、以降、名古屋、仙台と相次いで営業所を開設。その広がりは群馬、長野、最近では福岡へと広がっていく。
  •  「多店舗展開は、創業者はどちらかと言うと消極的な方だったが、今思えば、選択として、間違っていなかった。当社の総売り上げに大きく寄与するようになってきたからだ」。
  •  創業者が倒れたとき、社員数は20人、今では75人を数える。しかし、創業者の確たる意志の継承とでもいうべき「切削専門で運営する」は、しっかりと堅持されている。
  •  「厳しい時代、たとえばバブル、リーマンそれぞれの時期でも、赤字を出した時は一度もない。メーカーに近い、エンジニア的存在であることが、難局を切り抜けるのに寄与したと思う」。
  •  現在、趣味で社交ダンスや習字に勤しむ。退職後はゆったりとした今後を楽しむ。村上相談役の、これまでになかった生活スタイルを想像してみたい。

 

若き日の村上相談役

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