岡本工作機械製作所 2021年度PSG会支部連絡会開催 省人化、効率化に一層の貢献(石井社長)

株式会社岡本工作機械製作所

株式会社岡本工作機械製作所

挨拶する石井社長

岡本工作機械製作所の2021年度PSG会支部連絡会が中部、西部、東部と相次いで開催された。
 冒頭、渡邊営業本部長が挨拶に立ち「3月決算は、受注、売り上げ共に大幅アップを達成し、一部に生産の遅れまで発生した」との前期の業績に触れながら「(コロナ禍を踏まえ)WEBなどのデジタルツールの活用により、リアルとの棲み分け=ハイブリッド対応が常態化してきているが、当支部連絡会を通じて、超平面研削、高能率加工、機上計測、半導体製造装置といった、それぞれの分野で認識を深めて頂き、販売のお役に立てればと考えている」とアピールした。
 また、江連国内営業部長からは「2022年度は、弊社グループは売り上げベースで370億円を外部目標として報告した。直近の受注状況では、工作機械45%、半導体製造装置関連55%で、半導体関連で大口案件が入ったため、従来と逆転した。国内外比率では40%、60%となり、国外が伸長している」との説明に続き「国内は台数ベースで北関東、大阪、名古屋、受注ベースでは大阪、北関東、名古屋がそれぞれトップ3を占めており、どのエリアも前年から好転している」と語った。
 機種で見れば、半導体に絡むセラミックス部品加工需要の拡大で、ロータリー平面研削盤のPRGシリーズを筆頭に、円筒・内径の複合研削盤UGMシリーズ、そして成形研削盤HPGシリーズが伸長していると言う。
 支部連絡会では①超精密平面研削盤の活用について②OKAMOTOの最先端成形研削技術③研削加工におけるEVターゲット情報-の三報告が行われた。
 ①における超精密を担うのは、平面研削に特化するUPGシリーズと成形研削に特化するUPZシリーズ。
 「回転時にも発熱が少ない構造を新採用し、静圧スピンドルの回転精度をさらにアップさせた(UPGシリーズ)」ほか「MAP研削システムでエアカット距離をカットし、凹凸形状のAi最適化を促し」「高精度位置決め精度は機上計測も可能」にしている。
 ②での最上位モデルとしてUPZシリーズ、上位機種にはHPGシリーズをそれぞれラインナップ。
 電子部品、金型部品メーカーがターゲットで、UPZシリーズでは、薄幅といし成形によるピッチ研削&CCDカメラ計測(機上計測方式=透過方式)や3軸研削CAMによる異形状研削の自動化が可能と言う。一方、HPGシリーズでは、新オプションンの機上計測ユニット「Quick Touch」の活用で、溝幅、上面、側面などの測定が汎用的に行えるようになり、作業時間の短縮や生産性向上にも寄与する。
 ③については、研削加工を必要とするモータコア、センサー類、バッテリーといった各部品の増加を指摘。
 「順送プレス金型、レンズ金型、電子部品金型といった需要が高まり、研削盤の役割も拡大していく」との市場性を展望。
 さらにJIMTOF2022に新機種として発表予定の、脆性材やセラミック関連向けの新型研削盤の紹介も行われた。
 石井社長が締めの挨拶で「研削盤のリーディングカンパニーとして、省人化、効率化に貢献していきたい。SHINKA2022達成状況は、計画の売り上げ380億円に対し370億円を外部予定として発表している。海外ではインドの販社新設、国内のものづくりでは技能伝承のデジタル化等を推進していく」と述べ、グローバルでの工作機械市場は年平均成長率+3・5%を予測した。

 伊藤技術開発本部長特別講演(要旨)
 半導体は産業の「脳」と言われ、日本政府は次世代の半導体基盤強化のため、1兆4000億円を超える投資を図った。
 コロナ禍により、2022年は経済に大打撃を与えたが、半導体の需要拡大を止めることはなかった。その中で、当社は半導体ウエハー材料市場で活躍するウエハーの超平坦化で少なからず貢献してきた。シリコンウエハーのデバイス材料はナノレベルの平面創成を必要とし、また、チップ間の配線をなくすTSVウエハーの加工を実現することで、チップに求められる最大のパフォーマンス達成を狙っている。
 直近の半導体の売り上げシェアでは、韓国とアメリカが首位争いを展開し中国が参入する中、半導体製造装置に関連する後工程では依然として多くの日本勢が高いシェアを占めている。また、材料市場では日本が最も強く、ピエゾ(圧電)素子市場では日本がほぼ100%のシェアを占有しており、今後日本における半導体政策と市場の発展に期待を寄せた。