立花エレテック決算で初の売り上げ2000億円突破。利益項目もすべて過去最高達成

株式会社立花エレテック

株式会社立花エレテック

決算説明を行う布山社長

立花エレテックの2023年3月期決算は、売上高で初めて2000億円を突破して2272億66百万円(前年度比17・5%増)、営業利益が103億16万円(同53・8%増)、経常利益110億1百万円(同48・4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は78億41百万円(同52・4%増)で、すべての利益項目において過去最高を更新した。これを受け、期末における1株当たりの配当を2月9日発表時点の予想から10円アップして1株当たり50円とした。

 「すべての事業が好成績」―。布山尚伸社長はこう切り出し、中長期経営計画において、経営の力点をコンポーネントビジネスからソリューション提案に成功裏に移行させていることを印象づけた。
 説明によると、物不足が深刻で一部製品に支障を来す中、同社企業グループは在庫確保と拡充に努め、顧客の需要動向を的確に捉えて販売活動を展開、大幅な増収を達成することができた。原材料価格上昇に伴う価格転嫁が売上高を押し上げた側面はあるが、物不足が続く中、在庫量を勘案しつつ、きっちり仕入れ、販売したことが全事業の好成績につながった。
 とりわけ『半導体デバイス事業』が伸び、過去最高の売上高を計上、全体業績に貢献した。『半導体デバイス事業』とともに基幹事業の双璧を成す『FAシステム事業』では、FA機器、産業機械の両分野で大幅増を達成。技術部門と連携して提案営業を展開したほか、ウェビナー開催を増やすなど、製造現場でのソリューションが実を結んだ。
 中長期経営計画の2年目となる当期は、技術部門と営業部門が一体的に拡販活動を展開しており、ロボットやM2M技術を活用した工場の自動化および省人化ニーズへの対応、3Dプリンターによる新しいものづくり技術の普及に努めてきた。そして、その技術を、展示会はじめ、自社サイトでのオンライン展示会、ウェビナーなどで発信してきた。また、大阪万博や新都市計画に付帯する空調機器や住設機器など『施設事業』が忙しく、先期に好業績を達成。引き続き、安定推移が見込めるという。
 『製造受託事業』はMMS(金属加工)分野の立体駐車場向け部材、EMS(電子機器)分野では家電向け液晶基板ビジネスがともに増進。さらに、中国を中心相手国とする『海外事業』も好調で、ロックダウンと米中貿易摩擦の長期化の影響はあるものの、海外の日系顧客向けの需要に支えられ、売上高は過去最高に。好調な半導体デバイス事業に連動して、家電の増加が目立った。
 布山社長は「5つの基幹事業すべてを戦略的に進める。新規市場開拓のため、コンポーネントビジネスからソリューション提案型ビジネスに舵を切っている」とし、24年3月期の連結業績について、売上高2230億円、営業利益95億円、経常利益100億円、親会社株主に帰属する当期純利益70億円と見込んでいる。