碌々産業が静岡工場でプライベートショー開催。
部品加工、金型関連に照準 7月7日に創立120周年記念式典開催へ

碌々産業株式会社

碌々産業株式会社

微細加工機の生産の現状について説明を受けた

碌々産業は新春のタイミング到来とともに「After JIMTOF 2022」を2日間にわたって静岡工場で開催。リアルによる相互のメリット追求に配慮して、初日は部品加工関連、2日目は金型関連のユーザーを対象に集客し、それぞれのニーズに照応した講演が行われた。
本紙参加の講演では、機上にワークを取り付けたまま、加工から洗浄、3次元測定、補正プログラムの作成、追い込み加工まで対応する業界初のシステム「COSMOS」の紹介と運用事例をはじめ、微細加工の研究結果報告、設定画面の進化や慣らし運転機能、小ステップ機能が盛り込まれた「MA‐OS1」などが詳述された。

開会の冒頭、挨拶に立った海藤社長は「1996年に微細加工機としてMEGAの販売をスタートさせ、この27年間で1000台を超える実績を積み上げ、先のJIMTOFでマットブラック仕様の『MEGAⅦ』を披露させていただくまでになった。微細加工に関わる総合的な技術の進展と需要の拡大に背中を押していただいた結果であり、感謝に堪えない」と微細加工機の市場浸透に触れつつ「超精密微細加工は、切削条件のみならず、ワークのクランプ方法、治具立て、切粉排出、測定方法など、様々なレシピから成る創造性を駆使していく世界。弊社がマシニングアーティストと称える人たちの鋭い感性をデジタルデータ化していくことで、スマートファクトリーに導入でき、高生産性、高付加価値の両立が可能となってくる」との考えを披歴した。
今年で創立120周年を迎えた碌々産業は生産の8割までが微細加工機で占めるまでになり「超精密、高速、極小径」が同社を特徴づけるキーワードとなっている。
この日、講師を務めたのは、わかりやすい説明で定評のある営業技術課の須山係長と中部営業所の杉山主任。
COSMOSは、工具のR精度、摩耗、倒れなど、様々な要因により生じる寸法誤差を解消していくため、2020年に市場投入。微細加工機を活かした高レベルの精度管理ステムとして、今では顧客からの評価も確立されつつある。
「ワークの3次元測定から、誤差補正プログラムの作成、追い込み加工までを機上で行えるため、加工後の寸法測定の際にワークの取り外しや再段取りの工程を不要に。微細加工の高精度化、歩留まり向上、加工時間の短縮を実現している」とその特徴を概説した。
続いて、解説されたのが、倒れや摩耗の補正を行い、形状精度を追い込んでいく支援ソフト「Planet」だ。
「どのようなCAMにも対応する、独立した補正ソフトで、ボール、ラジアスエンドミルに対応する。倒れには角度ごとに補正値を変化させ、摩耗には切削長により補正値を変化させ、形状精度を追い込んでいく。傾向を把握すれば、精度一発狙いが可能になってくる」そうだ。
運用事例では、金型合わせ面の高度化や凹凸をはめ合わせ、圧をかけて当たり方を評価する「はめあい形状加工」への適用、輪郭精度が要求される燃料電池金型での捨て加工を活用した形状精度向上などが紹介された。
また、微細加工の研究結果では、セラミック材微細形状、腕時計の地板サンプルや文字盤サンプル、超硬合金パンチ金型などが報告された。
最後に触れられたのが「MA-OS1」。それぞれの頭文字の意味はマシニング(M)アーティスト(A)オペレーション(O)システム(S)となる。
「表示画面は、精度へのこだわりばかりか、デザイン性も追求した。各種設定・結果表示画面の進化をはじめ、加工前の慣らし運転設定画面、小径穴明ステップ加工の情報画面等拡張性をもたせている」と言う。
講演後は、参加者を数班に分けて工場見学が行われ「厳しい温度、湿度管理のもと出荷される」現状の説明を受けた。
7月7日には創立120周年を記念したイベントが開催される。今から楽しみになってきた。

キサゲ作業に「トライ」する参加者
キサゲ作業に「トライ」する参加者