THKが保守点検作業の自動化、故障予知システムへの高まるニーズに新システム共同開発

THK株式会社

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THK共同発表

 

  •  直線運動部の「ころがり化」で機械性能を飛躍的に向上させたLMガイドの状態診断および故障予知を行う新システムがこのほど、この分野の先駆者で現在世界シェアNO.1を誇るTHK(東京都港区)と、NTTドコモ(東京都千代田区)、シスコシステムズ(東京都港区)の3社で共同開発。10月18日には、THK東京本社で3社記者会見が開催され、新システムの「TSSシステム」と新IoTサービス「OMNI edge(オムニエッジ)」について、その概要が説明された。

 

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  •  生産年齢人口の減少にともない、特に製造業の現場では、製造装置の保守点検作業の自動化と故障予知システムに関するニーズが高まっている。保守点検作業は実際のところ熟練工の経験や感覚に頼ることが多く、仮にセンシングできたとしても、故障部分の特定が難しいのが現実。そこで、THKは専用センサーでLMガイドの損傷状態(摩耗や潤滑不良など)をデータとして集め、独自のアルゴリズムで解析しリアルタイムに可視化する「THK SENSING SYSTEM」(=TSSシステム)を開発した。
  •  人の経験や感覚に頼らず、故障発生前の部品レベルの異常を検知することができる。寺町崇史THK取締役専務執行役員は、「設備予兆保全の考え方として、温度やモータの電流値を計量する方法が考えられるが、私どものシステムでは、部品レベルでの現在の損傷状態を指摘できる点が特長。損傷箇所をピンポイントで追求でき、すぐに部品を手配して交換できる」と強調する。
  •  IoT化の基本ステップは「つなぐ」「集める」「分析・予測」「アクション」の4つ。実効困難な壁を乗り越えるため、3社は連携して、TSSシステムから得られるデータをドコモのモバイル回線を介して収集し、予兆検知を実現する。
  •  エンドユーザーにとって、IoT化に必要なシステム設計は完全自動化され、TSSシステムと通信端末(ルーター、スマートフォン)を接続するだけでOK。システムインテグレータは不要であり、感覚的には家電製品に近い。また、エンドツーエンドの閉域で運用されるから安全であり、ドコモのグローバル・ソリューションによって海外展開も容易だ。
  •  予兆検知に向けたセンシングは目下、搬送用ロボットや射出成形機、自動包装機などを使用するエンドユーザーを中心に、これらの機械に使用されているLMガイドそのものの状態が対象。順次ボールねじやクロスローラーリングなどへと拡大し、さらには装置全体、他社の製品に対する影響までも予兆検知の範囲としたい考えだ。 同システムは2019年春の商用化を目指しているが、本格展開を前に2019年2月頃から希望する50社に対し、「無償トライアル」を実施する。期間内で最終的な料金メニューを決める。寺町崇史THK取締役専務執行役員は「共感して、パートナーシップを築いてもらえれば」としている。