THKの国際ロボット展出展 移動を支える「走行軸モジュール」、多様なワークに対応する「クイッククランパー」・・・機械要素部品メーカーならではの特長を発揮

THK株式会社

THK株式会社

ロボット走行軸用モジュール

 

  •  THKは国際ロボット展で、生産ラインの予防保全を実現する「ОMNIedge」のアピールおよび受注に弾みをつけていく一方、LMガイドやボールね。じ、アクチュエータといったTHKの優れた機械要素部品を、ハンドを軸としながら様々にロボットへと応用する、人サポート「最前線」を披露した。

 

 

  •  そのひとつ、移動を支えるロボット走行軸用モジュールは「自動車関連ユーザーからの調査、ヒアリング等の引き合いが多い。アクチュエータとユニットを組み合わせ、個々の顧客のニーズを取り込みながらシステム化していくことで、生産現場の工数削減を狙う。搬送をはじめ、組み立て、溶接等のロボットの作業範囲を拡大する用途に適しており、マルチスライダ、ケーブルチェーン、ロボット取り付けプレートなど、アクセサリーも豊富に取り揃えている」と言う。  1個のワークに、ひとつのハンドというのが通常だろうが、ワークごとに対応できる「クイッククランパー」の説明も興味をそそった。
  •  「あらゆる形状のワークを段取りなしで掴めるハンドと、ワークの形状に倣って素子の高さが変化して支持固定する受けの治具によって、ハンドそのものが、自由度の高い治具へと発展させることができる。保持力は18キロまで対応可能」だそうだ。
  •  建設用現場で活用されている自立移動制御システム「SIGNAS」は、今後、工場内での活躍も期待されており「段差やスロープなど複雑な経路でも走行可能で、最大1トンまでの資材や平台車を牽引できる」魅力が活かされ、活躍するフィールドにも今後、広がりが期待できるだろう。

 

  •  ところで、12月18日から受注開始され、1月末から出荷開始が予定されている、生産ラインの予防保全を実現する「ОMNIedge」のアピールにも触れない訳にはいかない。昨年12月10日の記者発表に沿って紙面化していこう。
  •  製造装置の保守点検は、熟練作業者の感覚に依存している状況にあるが「技術の継承の難しさ」「常態的に望まれるメンテナンス」「不測の事態に備える大量の保守部品によるコスト圧迫」等への解決策を模索し、企業51社でのトライアルを経て、たどり着いたのが「ОMNIedge」だった。
  •  一言で表せば、THKの部品に専用のセンサを取り付け、稼働の状況を見える化するシステム。NTTドコモ、シスコシステムズ、伊藤忠テクノソリューションとの共同開発で、既存の設備に簡単に装着でき、センサで収集したデータをシスコの堅牢な変域ネットワークVTNで通信させ、その際、ドコモのSIMカードを使用して、データをクラウド上で堆積する。予め設定された閾値を超過したときは、担当者にアラーム情報として知らせるというものだ。
  •  寺町専務は「すでに稼働している設備にも簡単に装着でき、客観的に数値化していくことで計画的なメンテナンスが可能となり、担当者の経験やスキルを問わず、保全の効率化が図れる。予備在庫の管理コスト削減にも寄与し、従来の時間管理から状態管理に移行することで、交換時期を適正化して設備稼働率を高め、全体の生産効率向上が狙える」「主力製品であるLMガイドとボールねじの見える化を行い、次いで装置内にあるモータやベアリングなど、他の部品との関係性を見たり、データを比較することで一歩進んだ診断ができるようにする。最終的にはそのデータをAIや機械学習で掛け合わせることで設備全体の健康状態の判断やさらには予測できる領域にまで成長させていきたい」と語る。  導入費用は月額8000円から、となる。
  •  また、ブースで星野常務を「直撃」。2020年の景況予測について「半導体関連が動き始めているとの情報が多い。タイミングはわからないが、セットメーカーやシステムインテグレーターへの提案準備をしっかりとやっていきたい。ニーズが多様化するなかで、前・後工程での自動化に寄与する部品すべてに関わるサプライヤー業務として、設計力が試されると思う」。