超硬合金素材は3月から価格改定実施するセラティジットジャパン
生産の飛躍的拡大目指し、オーストリアで新工場建設中

株式会社CERATIZIT Japan

株式会社CERATIZIT Japan

馬場社長

2月決算を迎えるタイミングで、セラティジット・ジャパンの馬場社長を訪問。旬の話題を紙面化した。

 昨年12月にはコロナ禍の煽りで中断していたセラティジットグループのセールスミーティングが再開され、主要各国の責任者が招集されて「各エリアの動向と方針を確認し、議論された」そうだ。
 セラティジット・ジャパンに即した旬の話題と言えば、本紙にも関連深い超硬合金素材の価格改定だろう。すでに今年に入って、顧客ごとにアナウンスが始まっていた。
 馬場社長は「心苦しいことではあるが、3月から値上げを実施させていただく。欧州では、電気、ガス、水道といったインフラ関連の高騰がすさまじく、値上がり幅は300%に達している。当然、一般の生活にも重くのしかかり、賃上げも避けられないのでは」という背景がある。
 全体の方針では、脱二酸化炭素に集中した。資源と環境に対して、責任ある対応を採ることはセラティジットグループの企業文化の一部だと言う。
 「99%以上が2次原料で作られ、二酸化炭素排出を抑えたグリーンカーバイド、CT-GS20Y。世界初の超硬合金素材として昨年の欧州展示会で初披露させて頂いたが、反応は上々。テスト依頼も多く、結果についても好反応だ。日本ではJIMTOFのアピールで手応えを感じたが、販売と並行しつつ、この間、アプリケーションの拡大を図っており、5月の独・ハノーバーの展示会出展に際し、木工加工向け新材質の準備を進めている」。
 採用のメリットは、低炭素社会への貢献に留まらない。工具寿命など、品質の面でも同社のプレミアムグレード、CTS20Dと同等レベルを確保しているからだ。
 「日本で生活しているとわかりにくいのが自動車のEV化のスピード感。ミーティングを重ねる中で、需要の追い風を感じた。どのような関りを持てるか。議論はここに集中した。たとえば、ルクセンブルクでは、充電設備の設営が政府と一体になって取り組まれている。EV化についても、脱二酸化炭素でイニシアティブを発揮できるようにしていきたい」。
 さらに驚くべきことに、二酸化炭素削減の取り組みは、オーストリアの自社の新工場建設においても具体化している。
 「生産量の飛躍的な拡大に向け、大規模新工場を建設中で、二酸化炭素削減に対応する生産ラインを含め、総工費およそ120億円を投入し、年内の稼働を目指している」。
 二酸化炭素削減に向けて、2次原料を使った超硬素材、EV化での関わりの模索、さらに新工場における生産ラインと、グループ全体で活発な動きを見せる。まさに特筆すべき展開だろう。
 「ジャパンの業績は、2月決算を控えるなか、目標に設定した売り上げ10億円に乗せる計画で進めてきた。展示会出展では、JIMTOFに続き、1月にはEV展、3月にはグラインディングテクノロジー展が控えている。グリーンカーバイドをアピールしながら、情報収集を行い、何をしようとしている企業なのか、理解を得ていく場にしていきたい」。