碌々産業から新製品「Vision」をリリース。4月1日から販売スタート。インターモールドで初披露。

碌々産業株式会社

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「Vision」を披露する海藤社長(ショールームで)

  •  碌々産業は3月14日、静岡工場で荒・仕上げを1台でこなせる新製品「Vision」の発表会を開催。その開発コンセプトに触れるとともに、既存機種を含めた微細加工機のシリーズ化の流れや機械デザインに対する考え方なども併せて、海藤社長から、その思いが披歴された。Visionは4月18日から開催されるインターモールド大阪に出展される。
  •  「Vision」を大きく特徴づけるのは「汎用性の高さ」だろう。荒~中・仕上げ~仕上げまでを1台でこなす、レンジの広いマシンであり、直彫りで成形し、鏡面仕上げまで対応できるため、荒、仕上げに対応する各設備を不要とし、経済的であるばかりか、「渡り加工」による精度落ちも回避できるというメリットがある。
  •  設計コンセプトでは主軸の回転熱によるX、Y、Z各軸への影響(フレ)を極小にさせ、かつ短時間で安定化させることを狙ったと言う。
  •  真円度に関しては(同社基準である60mmの円形加工をした場合)0・62㎛を達成。高精度で安定した動作ができることも証明している。
  •  また、直径16mmのエンドミルや直径10・3mmのドリル、M12までのタップにおいて、超精密微細加工機でありながら重切削が可能。
  •  一方、仕上げ加工は面粗度RAで15・668nmを達成しており、美しい鏡面加工ができる(目下、シングルナノ基準であるRA17以下を目指している)。
  •  本体価格3300万円。4月1日より販売開始。年間50台受注を目標に掲げている。

 

 

  •  発表会で改めて紹介されたのが、同社の微細加工機のシリーズ化コンセプトだ。より精度を高める方向性とレンジを広げていく方向性の2本立て。
  •  極小径の微細工具を保持するには、高速回転で、しかも振れ精度が1㎛以内でなければならない。この点に留意したのが、スピンドル回転数4万回転を実現した「MEGA」(1996年)。こぶし大の大きさの金型を加工することを想定したそうだ。
  •  その後、産業構造の変化などを受け、精度要求の高まりを意識して「Android」(2010年)、「Genesis」(2016年)の開発に至った。
  •  「Genesis」は全軸リニアモーター駆動、油静圧ガイド、制圧スピンドルを採用し、「据えられた工具が宙に浮いている状態を理想として作った」もので、9万回転を実現。ただし、以上の3機種は直径6ミリのエンドミル加工が限界で、これ以上の重切削は不得意でもあった。
  •  もう少し力強い微細加工機を、との要望の流れで初めに応えたのが2000年に市場投入した「CEGA」であり、今回の「Vision」に連なる。大型の微細加工機の市場ニーズへの対応であり、加工エリアのサイズ方向に対するシリーズ化の「最前線」となる。
  •  こうして精度とサイズという両方向へシリーズ化を図ることにより、すべての微細加工シーンに適合するマシンが揃ったことになる。
  •   今後は「より精密に、より広汎に」向かう。パソコンカバーなど大きく薄めの金型の超精密加工、鏡面仕上げが必要となるヘッドライトのリフレクター、半導体の治具加工、医療系などの分野への導入が期待される。
  •  (注)デザインコンセプトに対する考え方が披歴されたが、紙面の都合により、5月号で詳述したい。