需要高まる集中ろ過方式。老朽化更新への提案も重要となってきたトランザーフィルター日本

トランザーフィルター日本株式会社

トランザーフィルター日本株式会社

取材に対応いただいた中村社長

トランザーフィルター日本のGTJブースにお邪魔して、中村社長に、ろ過機を取り巻く最新動向を取材した。

 3月末でトランザーフィルター日本が再スタートして丸8年を迎えると言う。
 中村社長は「ろ過機については、イニシャルコストだけでは判断できないと考えるユーザーが増えてきたと思う。1ミクロンまでの超硬スラッジを除去することによって、研削液は常時、綺麗に保たれ、生産性が向上、砥石寿命の長期化、サイクルタイムの改善、面粗度アップに繋がっていく。メンテナンスフリーと併せて体感頂ければ、コストパフォーマンスの高さを感じて頂ける度合いがさらに増してくるかと思う」と、ろ過機への期待値の高まりに照準を合わせる。
 ニーズは着実にある。トランザーフィルター日本の業績に触れると、2022年は、過去最高の売り上げを達成した。
 「2022年は受注ベースでも高原状態を記録した。ただ、極端な円安に振れたことで売り上げに伴う利益が吹っ飛び、赤字転落を余儀なくされたのは、どうしようもない。アメリカ本社からも、ジャパンの活動自体は評価され、強いエールが寄せられている」。
 ところで、市場の流れでは、複数台の研削盤をバックアップする集中ろ過方式という考えが増えつつあると聞く。
 「特に大手工具メーカーから、その動きが顕著になってきており、弊社では、V12、V15といった、ろ過容器の多い設備への引き合いが活発化してきた。また、新たな需要として、ろ過機の老朽化に対する見直しも発生してきた」との最近の需要の特徴を素描する。
 このほか、数年来に及ぶ、助成金絡みの需要も堅調に推移してきており、引き続き要チェックだろう。
 「助成金の活用で、共通して見られるのが、加工機と同時にろ過機を購入される場合だ。この点では、工具研削盤メーカーとのコラボレーション追求が選択肢に挙がってきており、弊社では、現在、ANCA、フォルマーとの間で実現しつつある」。
 工具研削盤の能力を活かすという視点でも、コラボレーションは重要な意味を伴って来よう。
 昨年のIMTSで披露された、ハイスほか、ギアやベアリング関連への対応や転用をも可能とする新モデル「ICC-Vシリーズ」の今後の深耕についても興味を惹く。
 「超硬関連ばかりか、研削油を使用するユーザー層への広がりが展望できるようになった。新規顧客獲得のツールとして、まずはハイス工具メーカーへのアプローチ、その後、順次、ギア研やネジ研のユーザーにも提案できるようにしていければと思う」。
 最後にGTJでの反応について中村社長は「新規の工具メーカーの方の来場もあり、特化した展示会ゆえの魅力がある。ただ、前回に比べて、案件を携えての来場は少なかったように思う」。

ろ過フィルターを手に取って確認する来場者
ろ過フィルターを手に取って確認する来場者