ワルタージャパントップにチェティン セルカン社長就任(4月1日付)。業況では第2クォーターから上昇に反転、後半に期待

ワルタージャパン株式会社

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Mr Cetin Serkan

ワルタージャパンの江越テクニカルトレーナーに面談し、近況をヒアリングしながら、このほどリリースされた新製品について取材を行った。

 ワルタージャパンのビッグニュースと言えば、トップ交代。ユルゲン・メラー氏から4月1日付でチェティン セルカン氏が「新たな顔」として就任した。トルコ出身で、25歳で日本に留学して以来、20年以上、日本に在住しているそうだ。
 江越トレーナーによると「もちろん、日本語はペラペラ。前職は自動車部品メーカーに勤務していた。年齢は48歳」とのこと。機会を見て、インタビューを設定できれば幸いだ。
 2022年を振り返ると、欧州全体のハイパーインフレは、ドイツも例外ではなく、工具の価格改定が4月、10月の2回、実施に移されたことは記憶に新しい。
 「苦肉の対応とは言え、どちらも10%弱の値上げをお願いさせて頂いた。駆け込み需要も発生し、そのせいか、今年の第1クォーターには反動が来て、引き合い、受注にブレーキがかかった」ようだが「第2クォーター以降、反転して、上昇傾向を辿ってきた。新たな戦略を立てていくタイミングと捉えているなか、本社副社長より直々に、サービス力、営業力アップのためにも、人の増強含め、体制強化に努めるよう、指示された」と言う。
 さて、本題の新製品となるが、コロナ禍による規制が撤廃され、4月にリリースされた新製品説明に江越テクニカルトレーナーも全国を回り始めている。
 「旋削と穴あけ」が今回の中心テーマに掲げられた。
 「自動盤向けのツールホルダを新しいレパートリーとして系統的にラインナップした。工具寿命延長に配慮し、すくい面、逃げ面双方からのツインクーラント方式を採用。切れ刃を確実に冷却し摩耗進行を遅らせる効果が期待できる。小径ワークの外径、端面、倣い旋削加工向けだ」。
 対応インサートチップとして、WLポジロック機構の採用による安定性と精度に加え、30度、50度の倣い加工が可能な3コーナー使いを用意している。
 ワルターが得意とするコーティング技術も進化している。
 「そのひとつが穴あけ工具向けのクラートテックと呼ぶコーティング被膜。耐摩耗性と靭性それぞれの性能を向上させつつ、新製品の2枚刃、3枚刃のソリッドドリルに適用させた。破損耐性で30%強化し、最大50%の工具寿命延長といった効果を発揮する。グループのリソースを活かして国内での再研磨・再コートにも対応可能。アフターサービスの強化も織り込む中で、ソリッド工具の日本市場浸透の武器にしていきたい」。
 被膜で付け加えれば、タイガーテックゴールド旋削チップのバリエーションも拡大し、周速で2割~3割アップが可能な高速加工向け新材種により、生産性を高めていることも要チェックだ。

江越テクニカルトレーナー
江越テクニカルトレーナー