穴あけに特化したヘリカルエンドミル(仮称)の新たな展開。JIMTOF開催までにはイワタツールが製品化

株式会社イワタツール

株式会社イワタツール

ロボットテクノロジージャパンブースで、来場者の質問に答える岩田社長(右)

イワタツールが昨年のメカトロテックで披露した穴あけ加工専用のヘリカルエンドミル(仮称)が新たな展開を見せている。
 名古屋で初開催されたロボットテクノロジージャパンに岩田社長を訪ねると「昨秋のメカトロテック発表以来、加工で負荷をかけない設計をさらに追求してきた。その結果、25キロ可搬の小型多関節ロボットに装着しても十分な加工ができるようになったばかりか、バリがほとんど発生せず、穴精度も向上した」と語る。
 ロボットマシニングへの最適化を図ったと言えるだろう。
 「樹脂、アクリル板、複合材、アルミ、銅、高張力鋼板と多様な被削材を想定。自動車外装パネルなどへの穴あけ、トリミング加工なども高品質、低コストで行える」メリットを訴える。
 薄板板金パネルや樹脂部品などの多彩な穴あけ加工の実現であり、ヘリカル加工のため、ひとつの加工ツールで穴径違いや長孔加工にも対応可能となる。
 「スラストがほぼゼロの低切削抵抗と言うことは、加工で熱が発生しにくくなり、量産向けの高速穴あけ加工にも適用できる世界が広がる。冷却機能と溶着防止のためのセンターオイルホール付きとし、その効用は、高圧クーラント仕様レベルに迫る」と高速穴あけ加工用への適用の可能性も広がってきている。もちろん、エンドミル本来の機能である形状加工も十分に対応可能だ。
 イワタツールでは、フィールド加工テスト用にプロトタイプを在庫しており、7月半ばまでは無償で提供している。
 「7月末以降になると思うが、プロトタイプがなくなり次第、想定する価格の半額くらいのキャンペーン価格で提供させて頂くことになる」そうだ。
 11月開催のJIMTOFまでには、フィールドテストからの知見を活かし、新製品として、リリースしていく考えだ。
 「4年ぶりのリアルJIMTOF開催を意識し、加工実演のバリエーションを増やしていくことも考えていきたい。リアル展示会のメリットは、まさに『現物』に尽きるからだ。音、見た目、振動・・・いろんな要素が直接、確認できる機会は、やはり重要だろう」。
 イワタツールの直近の動向では、徐々にではあるが、受注量が増えてきた。
 「価格改定についても、10月受注辺りからの実施を計画している。予想ではあるが、駆け込み需要はあまり発生しないと思う」。

ヘリカルエンドミル(仮称)のプロトタイプのラインナップ。JIMTOF開催までには新製品化を図っていく
ヘリカルエンドミル(仮称)のプロトタイプのラインナップ。
JIMTOF開催までには新製品化を図っていく

25キロ可搬の小型多関節ロボットに装着して実演。薄板の穴あけを精度良く加工していた。
25キロ可搬の小型多関節ロボットに装着して実演。薄板の穴あけを精度良く加工していた。