今後の商品展開を見据えて、値上げ検討するサイトウ製作所。問われる戦略的「変動価格」

株式会社サイトウ製作所

株式会社サイトウ製作所

齋藤社長

  •  2021年でメモリアルな記憶としてあるのは、メカトロテックが想像以上の盛況を呈したことだ。
  •  「この展示会を通じて開発案件が発生してきたことや新製品のDLCの認知度アップに貢献し、次へとつながる可能性が高まったことなど、前向きな話題に結実した」と齋藤社長も積極性を見て取る。切削工具業界を取り巻く環境としても、右肩上がりを継続してきており、需要の流れから見ても順風が吹いていると言えるだろう。
  •  だが、景況とは別に、原材料や輸入商材は需給の逼迫、インフレ等で、価格上昇が看過できない域に達し、工具を含む工業製品全般の値上げも「タイムテーブル」に挙がってきたとは言えまいか。
  •  「価格は基本的に需給のバランスで決まると言われている。しかし日本の現実は必ずしもそうなっていない。弊社の価格も需給の観点で考えて見ると需給バランスの原理には沿っていない。」
  •  「サイズのバラエティーの多い製品の提供によって『闘わずして勝つ』ことを追求しているが、小径工具がニッチではなくなってきた最近の需要の変化を当社としては重要視し、新たな開発動向を探ると同時に価格体系とその先の変動価格の領域を模索して行きたい。」
  •  今後、原材料の値上がりをはじめ、電気、輸送コスト等、付帯的な経費はさらに上昇してゆく、「値上げ」の選択肢は避けられそうもないかもしれない。
  •  「簡単な事では無いし理解も得にくいかもしれないが、中長期的な観点で考えた時、これまでの値上げという観点では無く、価格戦略を織り込んだ、製品性と弾力性のある変動価格を手に入れる事に挑戦して行きたい」。