精度出すならスーパーG1チャック活用を!
と訴える散弾銃製作で実績積むミロク製作所(高知)

株式会社ミロク製作所

株式会社ミロク製作所

現場を案内してくれた森山係長

上下二連というタイプの狩猟用散弾銃の製作をメインに手がけるミロク製作所を訪問した。
 「1966年にアメリカのブローニング社と提携してスタートしたOEM生産が主力となるため、輸出がほとんど。当社のブランドを冠した国内向けもあるが、9割以上がアメリカを中心とする海外ユーザー向け」と解説してくれたのは、今回、現場を案内してくれた生産技術課の森山係長だ。
 銃の製作では、木工、金属双方の加工があるが、ミロク製作所では、銃身の加工と銃身に付属するバレル部品(ジャケットブロック)とフレームという、金属部の手仕上げを含む機械加工を手掛けており、木工部は、グループ企業が担当している。
 森山係長は「来年の2023年には、高知龍馬空港近くに機械加工部門を集約した新工場建設に着手する計画。生産キャパの拡大ばかりか、自動化、無人化への対応強化が狙いで、2025年の稼働を目指している」との、中長期的な視野に立った、新たな展開に言及する。
 ミロクの銃は、10万発撃ってもガタひとつないと評価されるそうだが、その耐久性を保証するのが「ゼロ嵌合」。銃身とフレームの合わせ面は、100分の1ミリの隙間も許されないと言う。
 「生産技術の考え方のポイントは、精度は極力、機械加工で出していき、手仕上げの負担を軽減すること。つまり、機械加工で面粗度、取り代の最適化を図っていくことを重要視している」。
 バレルやフレームは、形状が複雑で、数量は詳らかにはできないものの、量産の効率化は不可避であるため、活用する治具も自ずと複雑になってくる。
 ユキワ精工のツーリングは、ブラザー工業のタッピングセンターにスーパーG1チャックを導入していたが「穴加工に限定されていた」。
 課題解決と言う点で、ユキワ精工のツーリングが評価対象に挙げられたのが、横形マシニングセンタとスタッカークレーンを併せたFMSの老朽化に伴い導入した松浦機械の「MAM72-35V」で、ビビリの抑制が課題に挙がっていた時のこと。
 「この機種は2015年から年1台ずつ計3台導入した、夜間稼働も可能な多面パレット搭載機だったが、バレル部品の溝加工と壁面加工でビビリが発生し、何とかならないかと訪問を受けたユキワ精工の営業マンに相談したところ、グリーンG1チャックを勧められ、検討し、導入することになった」と言う。
 結果は、ビビリが解消し、刃物寿命が1・5倍伸びる成果に結実。剛性の高さを証明した。
 その後、ユキワ精工のツーリングの活躍の場は、ヤマザキマザックの「VCNシリーズ」にも広がり、スーパーG1チャックが重宝されるようになっている。
 「精度が要求される加工では、なくてはならない存在となった。念のために、振れ精度をゼロにするためのユキワ精工製振れ調整器ゼロダスを購入してみたが、今まで使ったことがない」と森山係長は笑みをこぼす。
 スーパーG1チャックの評価について「バレルやフレームは複雑形状部品ゆえに干渉が気になるところだが、小径でも剛性が高い。初心者でもセットできる魅力も大きい。振れ精度は3ミクロン以内」「サイドスルーとセンタースルーというクーラントの出し方も、コレットひとつ付け替えるだけで対応可能」「ロングタイプでもビビらない。エンドミル、ドリルそれぞれの加工でも、1本でこなせる」-とまとめてくれた。
 森山係長は2008年入社。切削加工分野では10年のキャリアを積む。
 「独学で、機械加工技能士(マシニングセンタ作業)1級を取得した。コロナ禍によって、様々な制約があるからこそ、逆に知識や技術、課題を実行しうる手段には貪欲でありたい」。
 DXがトレンドとなるなか、オンラインセミナー、ユーチューブなど「いながらにして」活用できるアイテムも増えてきた。利用しない手はないだろう。

精度を要する加工には、スーパーG1チャックが活躍する
精度を要する加工には、スーパーG1チャックが活躍する

人の作業を軽減していくのも機械加工の大きな役割だと言う
人の作業を軽減していくのも機械加工の大きな役割だと言う