2020年は半導体産業の動きに着目、EV系のモータ需要に期待 岡本工作機械製作所・石井社長インタビュー

株式会社岡本工作機械製作所

株式会社岡本工作機械製作所

石井社長

 

  •  岡本工作機械製作所の石井社長を訪ね、営業、製造、開発など、多方面にわたる概況をヒアリング、紙面化を試みた。

 

 

  •  対前年で上期の売り上げは9・5%増‐と石井社長は語りつつ「注残があることで上期の成績を上げることが出来た」と指摘する。
  •  足元の受注状況は他社同様、決して良くないものの、今期のスタート時点では、大量の受注残を抱え「売り上げ数字そのものは作りやすい状況下でスタート」し「製造では、人の再配置や(内製化率アップも見据えた)自動化や夜間運転に貢献する機械設備の導入とその活用に取り組んできた」。
  •  現局面での岡本工作機械の受注面での厳しさは「社内売上シェア6割を占める国内市場の減速と中国での落ち込み」が大きいようで「欧米はマイナス幅が小さく、健闘している」とエリアによる明暗に触れる。
  •  需要の低迷には設備導入の一服感ばかりか、先行きの不透明感の影響が大きい、とも付け加えた。
  •  製造面の詳細に触れると「国内出荷は1機種・1台を丁寧に仕上げていく。ゼロスタートで部品が異なる、様々な機械を手がける一方、人が介在しない夜間稼働は、自動送りに載せやすい部品作りに集中している。機械トータル稼働時間を増やすことで、内製強化・コスト削減・納期短縮に挑戦する」そうだ。
  •  効率化のカギは、人間が関わる作業と自動運転とをいかにリンクさせるか、のようだが、現場で機械の組み立て状況を撮影し、班ごとに見ながら、それぞれ意見を出し合うユニークな試みも関心を引いた。
  •  開発のテーマでは、機上測定の提案とも言える「独自の静圧案内構造の研削盤と測定機との合わせ技で簡単な3次元測定を目指していく」ことが挙げられた。研削と測定による多機能化の追求だ。
  •  「研削盤は手仕上げが基本。そのためか、従来からの機械のリピートもあり、無視できない。使い勝手の良さの追求も開発のテーマであり、完成度を上げ、認知度を上げていくことが肝要だ」とも語る。

 

  •  2020年について、石井社長は「今年の3月までは、状況に大きな変化はない」との見方を示しながら「半導体関連が動きつつあり、注目しているほか、EV系のモータ需要から派生するコア金型やコネクタ金型等の拡大に一番、期待を寄せている。世界で約8万台の研削盤が稼働している現況を見据え、シンガポールやタイ、中国を含めたグローバル体制の強化、国ごとに違うニーズへの対応、さらに日本市場での売れ筋の、海外展開といった取り組みにも注力していきたいと考えている」。

 

  •  2019年度から開始された新3ヵ年中期経営計画では、2022年3月期の目標は、売り上げ380億円、営業利益46億円が計画されている。営業利益率目標は12%になる。