「電動化向けの部品生産が軌道に乗っていくのかどうか」(羽賀東陽社長) トヨタ自動車のEV車拡充にも期待

株式会社東陽

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羽賀社長

2020年度当初はコロナ感染を警戒して「生産しない」判断を取り、夏からは「生産回復」へと舵を切り、2021年度は「生産可能な状況」にもかかわらず、昨夏からの世界的なコロナ禍の蔓延でサプライチェーンが滞り「部品が回ってこない」事態に直面した-と2年間の状況を羽賀社長は素描する。
 「直近でインパクトがあるのが中国のゼロコロナ政策。外出禁止令が予告なく、発令され、出勤ができずに工場がストップする。代替生産も難しい」。
 このような難局を打開するために、部品を確認、整理しながら、サプライチェーンの再構築を目指す試みも追求されており、東陽でも可能な限り、協力に努めているそうだ。
 設備投資との関連では「ティア1クラスの部品メーカーでは、電動化向けの部品やEVでも通用する部品を製造するための設備需要が発生している。ただ、具体的な投資のタイミングが掴みづらい」現状がある。
 2022年度の関心事は、電動化向けの部品の生産が軌道に乗っていくのか、どうか。
 「(指標とも言えると思うが)トヨタ自動車の新型EV車であるbZ4Xがどれほど、売れていくのか。EV車の価格はバッテリーの価格次第。それによって上下するが、トヨタのEV車の今後のラインナップ充実には期待しない訳にはいかない」。
 因みに東陽でも5月からbZ4Xをリースしている。
 海外の状況、特に、北米とアセアンの現状はどうか。
 「北米の、ものづくりの現場は、人手不足が深刻。ロボット化、無人化対応もすぐには図れず、部品が回ってきても、生産対応がどこまで可能か、読めない。たとえ、関税がかかっても、メキシコでの生産が妥当ではないか」。
 アメリカ政府は、コロナによって、個人レベルで補助金を出して、職探しを後押ししているが、ものづくり以外の他の産業に就職しているケースが多い。
 「アセアンでは、コロナ禍の影響がトーンダウンしてきており、物流の混乱が収束してくればサプライチェーンの再構築が期待できるだろう。ただ、現調化がいっそう進むだろうと思う」。
 2020年度も決して、先を見通すことは容易ではないが、旬の話題と言えば「カーボンニュートラル」への対応だと羽賀社長は強調する。
 「省エネに貢献するアイテムの紹介に注力していきたい。消費電力を抑えていくニーズへの対応は、今や不可欠であり、乗用車、商用車、2輪車のCO2排出がなくなっていくことを期待したい」。