石川工具研磨製作所の新工場のコンセプトは機械設備の環境を取り巻く環境の改善、向上。

株式会社 石川工具研磨製作所

株式会社 石川工具研磨製作所

集中濾過を展開している「V12-V21 Expandable」。

石川工具研磨製作所は、米国製トランザーフィルター「V12-V21 Expandable」導入と同時に新工場を稼働させた。
 石川社長は「当初の予定からずれ込み4月28日からのスタートで、新工場には、旧工場から移設した工具研削盤が16台あるが、25台までの研削盤に対応できる拡張性を伴った集中濾過設備となる。各研削盤とは配管で繋げ、加工室外に専用のスペースを設けて設置している」と語る。
 新工場のコンセプトとして、機械設備を取り巻く環境の改善、向上を掲げた。機械のレイアウトへの「落とし込み」をはじめ、ポンプなどの音の出る機器類、チラーなどの廃熱の大きな装置は加工室外に配置して、温度変化や騒音に配慮する。機械間のスペースにも余裕が生まれた。
 「扉も二重にして、工場内環境を整えているのも、機械の性能をできるだけ引き出していきたいから」と石川社長は付け加える。
 米国製トランザーフィルター導入は、8年前から始まった。
 「新生トランザーにとって当社が国内での第一号ユーザーと聞いている。研削液が汚れると、コレットばかりか、製品の工具自体にも傷がつく。これまでにV-1を3台、V-4を2台導入しているが、研削液の汚れが完全に除去され、工具の挽き目もきれいになったばかりか、送りも10%程度、上げることができるようになった」と超硬粉を1ミクロンまで除去する、トランザーへの高評価に揺るぎはない。
 コロナ禍ではあるが、2021年の石川工具研磨製作所の業績は計画通りに推移した。
 「ただ、需要で括れば、自動車関連のウェートが高い分、サプライチェーンの滞りの影響は今も大きい。再研磨関連が2019年レベルまで回復するには、まだ、時間を要するかと思う。今年は、落ち込みのフォローとして、半導体関連ユーザーなど、新規獲得に努めている」。
 6月までの上半期で「蒔いた種」がどこまで下半期で、芽が吹き、どこまで成長してくるか。2022年の業績はここに掛かってくる。
 「コロナ禍の2年間でも、いつ、景気が戻っても対処できるように、2直体制を敷いてきた。品質保証の充実の点で、検査室内の充実もはかったが、現有の設備で、効率化を図り、いかに稼働率上げていくかが、当面のテーマになってくる」。
 工具研削盤導入のタイミングを想定しても、しばらくは「タンクレス」で済む。
 新工場では、テラスや図書コーナーを設けるなど、食堂や会議室のみならず、人が集まる空間で、コミュニケーションが増えていくような、環境づくりにも配慮している。

スペースが十二分に確保され、工具研削盤の配置にも余裕が見られる
スペースが十二分に確保され、工具研削盤の配置にも余裕が見られる

稼働スタートした新工場(手前)
稼働スタートした新工場(手前)