牧野フライス精機、アライドマテリアル、アクシスマテリアの3社で工具研削技術勉強会オンラインセミナー

牧野フライス精機 株式会社

牧野フライス精機 株式会社

牧野フライス精機・清水社長

  •  工具づくりで欠かせない、砥石、合金素材、工具研削盤に関わるスペシャリストによる、工具研削技術勉強会のオンラインセミナーが9月に開催された。アライドマテリアル、アクシスマテリア、そして牧野フライス精機の3社合同の企画。
  •  先陣を切ったのは、工具研削盤を手がける牧野フライス精機の大谷さん。  冒頭「弊社は様々な工具を高精度、高能率に加工出来る機械づくりを常に心がけている」と語る一方で、高精度に安定した加工結果を得るための望ましい機械設置環境と言う観点から「安定した加工結果を得るためには工場内温度を±1℃以内に抑える事がより良好な加工結果に繋がる」と述べ、工場の地盤‐特に地耐力や床厚、機械の配置に際しエアコンとの距離の取り方、直射日光の回避の重要性にも言及した。
  •  また、工具製作に直結する砥石の目つぶれ、目詰まりを避ける定期的なツルーイングとドレッシングは「加工の絶対条件」であるとし「機械のパフォーマンスを最大限に引き出すことになる」と訴えた。
  •  砥石のツルーイングとドレッシングについては、目つぶれ等を切り口として2番手として登場したアライドマテリアルの福本さんに委ねられることになる。
  •   福本さんは「切れ刃となる砥粒が摩耗し平坦化した状態が目つぶれ、切れ刃となる砥粒に工作物が溶着した状態が目詰り、さらに切れ刃となる砥粒が破砕脱落した状態が目こぼれ」と各状態を説明。
  •  そのうえで「ツルーイングは①振れを取る②ワーク仕上げ面断面形状と同じ輪郭にする‐砥石外周面の加工/修正であり、ドレッシングは、砥粒が切れ刃として有効となるよう、ボンド(結合剤)から砥粒を突き出させること」といった基本的役割と方法として複数の対応、砥面状態の解説にも踏み込んだ。
  •  因みに砥石によっても無気孔タイプでは「ツルーイング後にドレッシングしてチップポケットの創成」を行い、有気孔タイプでは「ツルーイングのみで対応」に分かれるようだ。
  •  合金素材ではアクシスマテリアの内野さんが担当。超硬合金とは?から説き起こし、その製造法、特性、そしてラインアップについて解説した。
  •  「炭化タングステン(WC)を主成分とする炭化物粉末をコバルト(Co)、ニッケル(Ni)の金属粉末を用いて焼結した合金」であり1926年、ドイツで超硬工具の誕生を見たと言う。
  •  工具材料開発は、加工速度の高速化、材料の高度化とともに歩みを進めた。「微粒WC材質が硬度や強度向上に有効」で「亀裂の進展防止には粗粒WC材質が有効」との知見を得ている。
  •  切削工具に要求される特性は「硬いこと(被削材の3倍以上の硬さ)、強靭であること(2GPaの応力に耐えられる)、高温で化学的に安定であること(700度~1100℃で被削材と反応しない)」。
  •  このほか、難削材やチタン合金、インコネル等の加工についての合金特性にも言及した。
  •  チャットを活用した、質問や意見が活発で「工場内の温度変化が抑えられない場合はどうすればいいか→オイルチューナの設定を一定温度に」「砥石とワークの摩擦熱の影響が大きい→研削液の掛ける位置、流量のご確認を」「更なる高能率を目指すとき、一般的な対応方法は→比材料除去率を大きくするよう条件の設定の検討。砥石の再選定も」など、数多かった。

 

アクシスマテリア・澤園社長

アクシスマテリア・澤園社長

 

アライドマテリアル・白石常務

アライドマテリアル・白石常務