再研磨の新規開拓、製造工具の浸透に邁進する石川工具研磨製作所。

石川工具研磨製作所

石川工具研磨製作所

GTJ自社ブース前で石川社長を撮影

幕張メッセを舞台に、研削に特化したGTJ(Griding Technolgy Japan)が3月8日から3日間にわたって開催されたが、出展していた石川工具研磨製作所からは、どのような提案がなされたのか。石川社長、杉本専務をブースに訪ね、取材した。

 半導体をはじめとする部品不足等によって自動車生産が不安定を余儀なくされ、再研磨への影響も未だに大きいと言われる。
 石川社長は「従来からの再研磨の需要の伸びが期待しずらい。新規の掘り起こしに努める一方、製造工具のアピール力を強めていきたいと考え、GTJ出展を計画し、今回で3回目の出展」と語る。
 人手不足への対応は、日本のものづくりの課題であり続ける。
 「なかでも超硬ドリルのホーニングは、熟練した職人さんによる手作業への依存度が高く、現場を悩ますプロセスでもある。弊社は従来からホーニングのCNC化を実現し、再研磨品でも新品同様の長寿命を達成することに成功している」。
手作業から機械加工化へ-超硬ドリルのホーニング需要の掘り起こしの武器として、繰り返しアピールしていく価値は高いだろう。
 製造工具の分野からは2点、紹介されていた。
 ひとつは、高速加工用にラインナップした超硬ラフィングエンドミル。
「刃径は6、8、10、12とラインナップし、工具素材の選定や形状にこだわり、コーティングについてもひと工夫凝らしている。難削材への高送り加工が可能で、荒加工の時間短縮に寄与していく。また、長寿命と言う点でも、差別化が可能で、たとえば、SUS304の溝切削で従来比30倍と言う実績を持つ」。
 動画を見てもらうと、即、購入に結び付くと言う。わかる人にはわかる世界とも言えようか。
 もうひとつは、超硬SPスパイラル面取りカッタ。
 「リリースから約10年強にはなるが、訴求の方法を、綺麗な面が生成できる→返りバリが出ない、と強調点を変えてアピールするようになった。すると、ユーザーからの反応が、がらりと変わり、喰いつきが俄然、良くなった。バリ取り作業からの解放に魅力を感じるユーザーは多いということだろう」。
 杉本専務からは、バレル工具の紹介がなされた。
 「前回に引き続き、Ai Solutionsさんとのコラボレーションを追求した。同時5軸加工向けのCAMソフト hyPer MILLは、傾斜、回転を自動でコントロールし、プログラム作成の難易度を下げてくれる。その一方で、バレル工具は、側面にもRを持たせているため、ピックフィードが大きく取れ、高精度な加工を可能とする。また工具の任意形状定義が可能な事から、同社は任意形状の特殊製作対応を行っている」。  
 日本市場においても5軸加工の需要が高まるのは間違いなく、弊社としても、この分野に注力していきたい」。
 展示会への出展で、新規はもちろん、リピーターからも新たな話が出てきたそうだ。
 石川社長は「悩まれている方の大半は、技術的にも難しい課題を抱えている。困りごとに対応していくことで、弊社も新たな需要を獲得していければと思う」。
 社内にはひと通りの工具研削盤メーカの機械が揃っている。
 「設備の点でも、相談に乗れる可能性が高まったことを強調したい」。

面取りカッタでは返りバリが出ないとアピールする
面取りカッタでは返りバリが出ないとアピールする