上期は計画の120%達成—スマートフォン、半導体関連の特需発生した碌々産業

碌々産業株式会社

碌々産業株式会社

海藤社長。メカトロテックで出展したVisionとともに

 

  •  メカトロテック会場で海藤社長に面談し、この間の成果と課題、見通し等についてヒアリングした。

 

 

  •  今上期は計画の120%を達成したと言う。
  •  「海外からの特需の発生が寄与している。スマートフォン用のカメラに関連して、画素数をアップさせていくために必要となる、複数個のレンズに応じる金型と、半導体メモリー用の導通検査治具関連の加工で当社にオファーがあり、対応させて頂いる」そうだ。
  •  工作機械業界が全般的に下降局面にあるだけに、受注の堅調さは目を引くだろう。
  •  「当社の一番の課題は、生産体制の充実にあるが、なかでも、当面する納期の短縮が挙げられる。幸い、今年3月末までに新たに導入した平面研削盤が稼働スタートし、ガイドを搭載するベッド研削の量産がこれから始まっていく。コラムとベッドの接合面がいい状態になれば、キサゲ作業の時間短縮に繋がり、全体納期も圧縮が可能となる」。
  •  碌々産業の微細加工機は、すべて客先によって仕様が違う「一品一様の世界」。
  •  「カスタマイズ製品のオンパレードであり、その労力を惜しまないものづくりこそが、当社の強みになる。なかでも自動化が馴染まないキサゲ作業がコアを成すと言える。コモディティー化しない、できない、例えてみれば工芸品に似ている、製品づくりが根幹にある」。
  •  だが、碌々産業にフォローの風を吹かせているのは、日本で残るものづくりも、コモディティー化と一線を画す、性格を帯びる傾向にあることだろう。しかも、トレンドのひとつが微細化だ。
  •  「最終商品で見た場合、ジャパンメイドの力は、相対的に低下してきているかもしれないが、今や、個々の部品づくりでは、世界でも有数の実力。典型がスマートフォンであり、その部品構成比率では80%が日本製で占められるようになってきている。優れたパーツ供給能力は凄いと思う」。
  •  では、碌々産業のトップとして、今後の見通しをどのように立てているのか。
  •  「現状では、米中の貿易摩擦に関連して、客先のマインドは下がっているように見受けられる。設備は一巡したとの指摘もあるが、高速通信を担っていく、第四次産業革命とも言われる、5Gの需要が爆発的に高まっていくことが予測される。結果、関連する設備は、変えざるを得なくなる。来年の3月までは、我々の業界の動向も鈍っていくものと思われるが、4月以降、上昇を辿っていくと思われる。来るべき時に備えていきたい」。
  •  アンドロイドが急成長し、メカトロテック出展機でもある、荒から仕上げまで1台で行える1台2役担うVision、さらに「MEGA SSS」の登場によって、新たな微細加工の世界がどのような「衣装」をまとってくるのか、楽しみだ。