下半期の計画数字を5%上方修正した碌々産業。避けて通れない設計の効率化 中国比率が全体の7割に

碌々産業株式会社

碌々産業株式会社

海藤社長

  •  碌々産業の海藤社長を訪問し、微細加工機を取り巻く現状の特徴と今後の志向を中心に取材した。
  •  4月から9月までの上半期の状況を踏まえ、下半期は計画の5%上方修正を行ったと言う。
  •  「ただ、ここにきて、部品の手当がままならない状況に直面。特にスイッチ関係の入手が困難になってきて、代替品で対応しているのが現状だ。回復次第、純正に切り替えていくことになる」。
  •  Androidなど、売れ筋製品の長納期化解消も課題に掲げる。
  •  「出荷機械のうち、半分は顧客によるカスタマイズ仕様となっている。言わば、基本仕様にプラスα分が付加価値。嬉しいことではあるが、設計陣にとっては負担増となるため、社内DXの強化を通じた効率化を達成していきたいと思う。目標は30%の効率化だ」。
  •  需要という点を反映して、海外で受注が着実に増えているそうだ。
  •  「なかでも中国が、全体の7割を占める。半導体を自前で製造することが目指されており、当社にとっても、検査治具需要の発生を見込んだ開拓が避けて通れない。また、半導体という括りでは、ファウンドリーとして著名な台湾・TSMCのアリゾナ州への招致に見られるように、アメリカ市場も目が離せない」。
  •  社内比率3割を占める国内については、政策としての事業再生と、ものづくり補助が受注の柱となっている。
  •  「牽引役は5Gが基本。半導体のデバイス類は、日本メーカーの実力が問われ、忙しい。課題となるのが、どれだけ小型化できるか。高機能を求めつつ、付加価値の高いデバイスづくりが志向されるなか、微細技術をどのように活かしていくか。直接、需要の発生と深く結びつく」。
  •  たとえば、発電効率を上げていくプロセスで、微細技術が活かされたと言う。
  •  碌々産業が世に先駆けて微細加工機「MEGA」をリリースしたのが1996年。ちょうど四半世紀を迎えている。
  •  「現在、MEGAは第6世代を迎えており、昨年には納入台数が1000台を超えた。ラインナップも豊富になり、微細技術の深化と言う点では、Android、Genesisと発展を遂げてきた」。
  •  客先で困っていることへの対応「プロダクト・イン」から機種が豊富化していった結果そのものであろうが、海藤社長によると、碌々産業はシーズを探る「プロダクト・アウト」を模索し、微細加工のあり方を改めて問い直していると言う。30周年の節目に相応しい問題意識だろう。