碌々産業の「MEGA」出荷1000台突破。。Androidも急成長、新たな「顔」に インターモールド東京では「Vision」出展

碌々産業株式会社

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海藤社長

  •  2019年度は厳しい予測を立てた‐開口一番、海藤社長は、そう言い放った。
  •  「米中貿易摩擦の長期化が念頭にある。数カ月単位で収まる気配がないからだ」。
  •  だが、視線のその先に、5Gに対応するスマートフォンの更新需要を海藤社長は見て取る。
  •  「被削材という括りで捉えれば、(要素部品は)アルミからガラス・樹脂への転換をもたらし、微細加工の世界を押し広げる役割を担う」。
  •  また、遠隔治療で活用される内視鏡用ロボットの特許が切れることに言及する。
  •  「5Gによって転送スピードが一段と早くなり、(特許が切れることで)医療機器部品加工の広がりを期待できる」。
  •  ただし、これらの動きは2020年以降の話、と付け加えることを忘れない。「2019年度は、5G対応への技術研鑽期に位置付けられる」ということだ。
  •  昨年10月以降、中国市場では、機械の買い控えや延期等、設備意欲の減退が見られたようだが「全人代で6%成長の必要性が確認された」ことで「減税や補助金等が採択」され「当社では3月末までに複数台の受注が決まるなど、若干の好転」という変化も。
  •  「だが、総じて中国経済は、貿易、なかでもアメリカへの輸出という基本的な枠組みに規定される」。
  •  2018年度を総括してもらうと「受注は目標通りだったが、昨夏以降、部材の調達が難しくなってきたことで売り上げは、予定に少し、手が届かなかった」。
  •  機種別で概観すれば「昨年のインターモールド大阪でデビューしたVisionは、荒から仕上げまでワンチャッキングで行える、1台2役が高く評価され好調に推移している。目前のインターモールド東京にも出展し、さらに認知度を上げ、浸透させていく計画だ」。
  •  また、6月のスイスの展示会(18日~21日)で、MEGAを出展し、実績が出てきた時計業界や医療分野への浸透を図っていく。
  •  「因みにMEGAは昨年、大台となる1000台を出荷。微細加工機の代名詞として、当社の看板機の『重責』を全うしている半面、新たにAndroidの知名度が急速にアップしてきており、MEGAと肩を並べ始めている」。
  •  この1年間で、海藤社長が最も注力したのは、エンドユーザーからの情報収集だったと言う。
  •  「5Gによって、通信速度が100倍という事態は何をもたらすのか」‐収集のポイントはこの点にある。
  •  AI化、ロボット化の進展、普及によって、逆に、人に残される仕事は何か、と海藤社長は自問自答する。
  •  「微細加工のような、創造性の高い仕事に従事していくことになる。面粗さは数値化できるが、鏡面仕上げにそのような指標はない。言わばオペレーター感性によって、美しさが創造されていく。私がマシニングアーティスト呼ぶ所以であり、若い人たち、特に工業高校の生徒の間で、『憧れ、かっこいい』職業と思っていただけるよう、微力ながらも貢献していきたい」。

海外の展示会にも積極的に参加。加工サンプルで来場者に「微細加工」最前線をアピールする(写真は3月開催のTIMTОS)

海外の展示会にも積極的に参加。加工サンプルで来場者に「微細加工」最前線をアピールする(写真は3月開催のTIMTОS)