沖縄工場は拡張念頭に移転も視野。「売り上げではなく、中身、利益面の充実目指す」‐シー・ケィ・ケー(愛知・半田市)

CKK株式会社

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澤田秀司シー・ケィ・ケー社長(マレーシア・クアラルンプールのモスクで)

 

  •  今回のワルタークラブ・アジア研究会「シンガポール・マレーシア」ツアーを企画した1人でもあるシー・ケィ・ケーの澤田秀司社長(ワルタークラブ会長)に、旅程を通じて、今後のシー・ケィ・ケーの「進路」をヒアリング、紙面化することにした。

 

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  •  筆者がシー・ケィ・ケーの門を叩いてから15年近くの歳月が流れた。年商4億円弱という規模から、今では、およそ10倍の売り上げという異例の急成長を辿った工具メーカーとして「知る人ぞ知る」。
  •  澤田社長は「売り上げの拡大ではなく、利益面を含め、内容の濃い企業へと発展させていく転換点に差し掛かっているとの認識を持っている」。
  •  愛知県・半田市の本社をはじめ、山口工場、沖縄工場、中国・大連工場と、主だった製造拠点には「工具研削盤など設備面での確保はすでに十二分にある」なかで、一般スタッフのスキルアップ、マネージャークラスの管理能力の向上といった人的成長にシフトし「生産性」をいかに深化させていくか。
  •  「単なる設備増強ではなく、自動化を推進し、効率アップをいかに図れるか」という観点のみならず「昨年は本社管轄で業務推進室を設置、各工場への業務を一元管理できるようにした。今年は新たに人事の点で改革を実践し、将来の働き方改革に向けた、評価制度の強化、優秀な人材の確保など、グループとして更なる成長を遂げるための、ベースを築いていきたい」との方針を明かす。
  •  さらに「工場相互の役割も変化してきている。たとえば、稼働から2年が経過した沖縄工場は、予定よりも早く立ち上がり、すでに量産工場として、計画通りのスピードで成長を見ている。まだ、構想中ではあるが、工場拡張も視野に入れている。各工場から限定した設備を移設し、より大規模な量産工場を志向していく。一方で、本社、山口工場はR&D強化、開発のウエートを高め、より付加価値の高い仕事がこなせる環境を作り、先進技術の獲得へと、その機能を明確化していく」。
  •  特に本社はサポイン(産学官連携事業)認定企業として経産省から補助金を得て、工具の新加工方法の研究に着手。内容は公開出来ないようだが、世界唯一の工具製作に関わる研究との事。
  •  発展に応じて、そ役割が変化してきているのは、国内だけではない。7年目に入ったタイCKKは、今年から日本人技術者を駐在させ商社機能としてニーズの高い商材の充実に努めつつも、今年から再研磨事業に乗り出し、新たな方向性を見出そうとしている。
  •  「陣容の面でも2倍となり、今年は『再研磨の強化』を掲げた。その活動を通じて、評価を頂きながら自社工具の販路拡大に弾みをつけていく考えだ」。
  •  中国についてはどうか。
  •  「大連工場でも総務や製造部門など、各部門でマネージャークラスを採用し、2月に設立した販売商社『澤田工具』と連携を取りつつ、中国市場でのいっそうの深耕を目指す」方針を採る。
  •  設備の点では今秋に試験機としてANCAのMX7を導入する事を決めた。
  •  「8月決算では売上前年対比10%アップの見込み。またグループ全体の各部署の改革に注力していく年と位置付け、今後を見据えた全体の競争力アップに邁進していきたい」と澤田社長は締めくくった。