チップマウンターの構成部品はじめ、光通信関連機器、宇宙開発関連機器などの「削り出し」で実績
JUKI産機テクノロジーがユキワ精工製スーパーG1チャックで面粗度、工具寿命ともにアップ

JUKI産機テクノロジー株式会社

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取材に協力いただいた佐藤課長(左)と佐々木スタッフ

JUKI産機テクノロジー吉野工場を訪問し、削り出しを中心とする加工内容に、ユキワ精工のスーパーG1チャックがどのような役割を果たしているのか。生産技術の佐藤課長はじめ、小川係長、佐々木スタッフに聞く機会を得た。

 JUKI産機テクノロジーは、チップマウンターなどの電子機器の開発、組み立てを行う同じ横手市内にある本社工場と、チップマウンターの板金・塗装を手掛ける大仙工場、そして今回訪問した吉野工場から成る。
 佐藤課長は「吉野工場では、本社工場向けのチップマウンター構成部品やフレームの加工と、JUKIグループ事業として受託する部品・鋳物加工(組み立て含む)に分けられる。比重は4対6と受託事業の方が大きく、志向としても、この分野での実績を積み上げていきたいと考えている」と説明する。
 チップマウンター部品は、基板や軸、ヘッドなど1万点に及ぶ部品で構成されるばかりか「0・4ミリ×0・2ミリのチップを吸着させるノズルや高精度位置出しが必要なロータリー部品といった超精密部品も含まれる」。
 被削材はアルミをはじめ、ダクタイル鋳鉄、ステンレスが主体だ。
 一方、受託事業は、展示会出展を通じたアピールやJUKIグループの営業からの受注が中心で、興味を惹く例では、光通信機器や宇宙開発に関わる高精度部品などが挙げられる。
 この現場を特徴づける、大きな変化を遂げていくきっかけとなったのが5軸加工機の導入で、2017年が起点となったようだ。
 小川係長は「松浦機械のMX520(シングルパレット)を皮切りに、牧野フライス製作所のDA300(19パレット仕様)、松浦機械のMX330(10パレット仕様)と相次いで現場に据えて、工程集約や無人運転化、夜間運転化を追求。省人化のメリットを体感しながらも、それ以上にパスの作り方や刃物選定、切削条件の検討といった、創意工夫を凝らしていく体制が次第に整ってきたメリットは大きい」と語る。
 ユキワ精工のスーパーG1チャック効果に触れたのは「φ16ミリのエンドミルによる立壁加工」が最初だった。
 「2018年のころだったが、ビビりが発生して困っていた。取引商社の方に相談したところ、スーパーG1チャックを勧められ、試してみると、即、ビビりが解消されたうえ、切削条件を上げても、ビビらなかった」と小川係長が振り返る。
 現状では、松浦機械のMX520やMX330のミーリング加工でスーパーG1チャックを多用しているが、5軸加工機以外でも「DMG森精機のCMX1100Ⅴやファナックのロボドリルでは100%、スーパーG1チャックを活用しており、総数では200本近くになる」(佐々木スタッフ)そうだ。
 導入メリットを挙げてもらうと「面粗度アップ、工具寿命アップを指摘できるが、加工音がとにかく静か。振動吸収メリットが感じられる。加工音で判断すれば、切削条件もスーパーG1チャックなら、まだまだ、上げていける」(小川係長)ほか「SGコレットしかないので、ホルダ管理がやり易い」利点も。
 現場における創意工夫の例になるが、機外にツールストッカーを設置し「補正値入力をやり直さなくていいように、事前に工具の段取りを行っている」。
 ユキワ精工への要望としては「複雑で小物の加工が多いので、干渉への配慮を意識したホルダ設計をさらに追求して頂ければ」との声が上がった。

ファナックのロボドリルではグリーンG1チャックも活用されている
ファナックのロボドリルではグリーンG1チャックも活用されている

補正値入力をやり直さなくてもいいように、工夫されたツールストッカーにはスーパーG1チャックが満載だ
補正値入力をやり直さなくてもいいように、工夫されたツールストッカーにはスーパーG1チャックが満載だ