ユキワ精工ツーリングユーザー「ヒムテック」。工具交換本数3分の1に減少、加工時間は半減

有限会社ヒムテック

有限会社ヒムテック

取材対応頂いた日向取締役

9割以上が銅電極の加工という、創業30年を迎えたヒムテックを訪問した。
 創業者の子息で、現場を切り盛りする日向取締役は「主に取り組む産業分野は、ゲーム機内部の電子部品や車載関連の内製パーツ、半導体装置のモールド金型関連という3本柱。電極の大きさは様々だが、求められる公差は、2ミクロ以内。ほかに高硬度材の直彫りも展開する」との概要を説明する。
 取引企業は5社、6社を核としつつ、総計で20社ほど。ホームページからの問い合わせもある。1ロットは1個、2個が基本だ。
 「電極加工の基本設備は、牧野フライス製作所のV33とV22。求められる公差が厳しく、かつ、小径で長時間加工となれば、寸法にもバラツキが出てくる。加工における剛性面や振れ精度に配慮しない訳にはいかない」。
 日向取締役は、プログラム作成の仕事に従事したあと、2012年にヒムテックに入社した。
 「ツーリングは、焼嵌め方式が、把握力があって、振れ精度も一番、いいと思っていたが、2年前から剛性の面で気になりはじめ、この点が工具の摩耗にも影響するのではないか。そう、CAD/CAMメーカーの営業の方や取引商社に相談したところ『(焼嵌め方式が)絶対とは限らない』と回答され、同時にコレットタイプのユキワ精工製ツーリングを推奨された」。
 機械のトルクが伝えられる=剛性が出せる、と判断。
 「スーパーG1チャックをサンプルとして提供頂き、V33による多数個取りの加工で比較してみたところ、従来の焼嵌めでは工具摩耗が見られたが、スーパーG1チャックではほとんど見られなかった」。
 比較検証を通じて、工具寿命が1・5倍程度、伸びたことが確認できたと言う。
 その後、スーパーG1チャックを4本発注。1日で30種類に上る電極加工を行うことがあるが、工具交換の頻度が全然、違ってきた。
 「7年前から使っている工具との組み合わせだが、工具交換本数は3分の1に減少し、加工時間は半減した」。
 2020年~2023年のコロナ禍では、仕事量は確保できたようだが、昨年からは、半導体、車載関連ともに電極加工はトーンダウンしてきた。
 「安定的な受注を目指すと言う点で、DMG森精機製NVD4000を活用した、高硬度材の直彫り加工でも、ユキワ精工のツーリングを今後、試していきたい。今の考えではグリーンG1チャックが念頭にある」。


多種多様な電極を手がける


工具交換回数が3分の1に減少したと言う