「2028年以降には、EV車の位置づけが明確になるのでは?」と語る東陽・羽賀社長。 海外需要ではインドの発展に期待。「日本人スタッフを増員し、インドの体制を再構築」

羽賀社長
自動車におけるEVの占める位置が、限りなく不透明になってきた。
「欧州のEVを巡る従来路線が瓦解し、自動車の今後の方向性が、ワールドワイドで混沌とした状態に陥っている。当然とは言え、設備投資が様子見となり抑制され、生産ラインについても勢いはなく、8月の国内自動車生産も前年同月比2カ月連続減少を辿っている」と羽賀社長は自動車の動向に触れた後「上半期は、生産のトーンダウンの影響もあり、工具関連は思ったほど伸びてこなかった。その一方で、機械の数字は予定通り推移し、トータルとしては昨対比プラスを確保できた。しかし、下半期は機械も失速が予想される。今期は、工具のマイナス分を機械が補完するレベルには至らないだろう」と概括する。
内燃機関(ICE)車、ICEと電動モーターを組み合わせたハイブリッド車の需要の現状は、相対的にはEV車に比べ、動きがいい。
「EV化が減速したとは言っても、勢いが増してくるのは間違いなく、ひとつの目安として、2028年以降に、EVの自動車に占める位置づけが、ある程度見えてくると思う」と予想しながら「駆動用バッテリーとして注目されている全固体電池の動向も見逃せない」と付け加える。
この間、日本の産業界が振り回されている「トランプ関税」。当初の追加25%から15%へと決着を見たが・・・。
「アメリカの日系企業とは、追加関税による価格転嫁の交渉が進み始めた。今後の交渉で気になるのが、アメリカ・メキシコ・カナダ(USMCA)の動向だ。北米域内貿易の活性化を目的に、NAFTAを前身として2020年7月に発足。この枠組みを活用して、メキシコ、カナダで製造した完成車がアメリカに輸出されてきたが『トランプ関税』によって今後、どうなるか。特に弊社にとって、影響の大きいメキシコは目が離せない」。
海外で「稼ぎ頭」として、アメリカ、メキシコ、そして、今はポテンシャルだが、インドの3国が挙がった。
「弊社の活躍の伸び代の大きさ、という点でも触れていきたいのがインドだ。自動車の生産台数は、2024年度で601万台に達し、国内販売台数522万台を突破、世界3位の地位を確立している」さらに「GDPでは日本を抜いて、4位に浮上してくる。中国を凌駕できるのはインドだけであり、現状のグルグラム、ベンガルールの2拠点を軸に、お客様から求められる提案、サポートといった役割を自覚的に追求しつつ、この1年で日本人スタッフの増員をはじめ、インドの体制を再構築していきたい」。
EV化がどのように進むか、ハイブリッドが普及していく地域はどこか、自動車産業の発展を展望するとき、まだまだ、不確定要素が多い。
「グローカル化の伸展により、どこに生産拠点を置き、どのように生産し、どこから輸送するのかといった選択肢がどんどん変わってくる。北米は、日本以上に省人化、自動化が求められている。欧州はマーケットの冷え込みとは裏腹に、投資のチャンスが出てくる可能性が高いのではないか。アフリカ、南米といった地域では、ハイブリッドの普及が先行するかと思う」と自動車を取り巻く状況を素描してくれた。
顧客から期待されている東陽ワンマンショーも1月28日、29日に設定された。楽しみにしたい。