超硬を超える超硬「IXシリーズ」でcBN工具からのリプレース狙う MOLDINO・金子社長インタビュー

株式会社MOLDINO

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取材に対応頂いた金子社長

メカトロテック出展ブースに金子社長を訪ね、上半期の業績を振り返ってもらいつつ、この文脈に、主要顧客である金型メーカーの動向やギガキャストへの対応、営業の新たなアプローチ、新製品への注力等を織り込んでもらった。


 上半期は計画予算通りに推移したと言う。
 「国内では年内の価格改定を予定しており、その周辺期間にはご注文が増加する傾向が見えるが、現状では落ち着きを取り戻しつつある」とコメントする一方「対ユーロでは円安を背景に、欧州向けの比率は拡大した。中国市場は気になっていたが、想定よりも悪くなかった」と語る。
 現状海外向けが相対的に高い構成となっている。
 ところで、最大の需要層である金型業界では、人材不足、後継者不足が常態化している。
 「自動化は避けて通れない。生産効率を上げていくことも課題に挙げられる。先行きは不透明であり、現状では、設備投資に慎重なのも頷けるが、工程集約、職人技の共有化も、自動化と併せて追求していくテーマでは?」と指摘しながら「プレス金型メーカーが中心の海外では、自動化という点では、国内よりも一歩、先んじており、経験に裏打ちされたノウハウが蓄積され、現場での改善が進んできた」と語る。
 金子社長からも指摘されたが、全社的な改善提案として、金型市場で認知が高まってきている「PRODUCTION50™」は見逃せない。現場に応じた、最適な工具と加工方法の提案によって、切削時間の半減に取り組み、製造費全体のコストカットにまで踏み込んでいく。各現場に応じた「最適解」をユーザーとメーカーが共同して見出していく試みでもある。
 部品点数や製造工程の大幅な削減、軽量化を目指して、一体成型するギガキャスト金型は「加工の上では、補強リブが必要とされ、深彫りが求められ、型材では削りにくい高機能材が採用されている。この分野でのイチオシの新製品はTR2F。是非ともお試しあれ!」とアピールする。
 また、新製品の流れで見た特筆すべきアイテムとしては「cBN工具と同等クラスを目指す性能を実現したIXシリーズ」がラインナップされており「cBN工具に比べた、価格メリットはもちろん、特に高硬度材金型の直彫りで高い効果を確認している」と言う。
 MOLDINOにあっては、素材も自前で手当てできる強みは無視できない。
 顧客満足度アップという点で、是非とも補足しておきたいのが営業の分業化。
 同席頂いた小櫻国内営業部長によると「案件獲得と対応のそれぞれを強化している。弊社では多くのお客様にご理解、ご利用いただいているが、この点では、特にアフターフォローの目線が大切になってくると思う。新規については、ソリューション力を活かした提案が重要となる」とのことだ。
 2025年4月、顧客の加工課題に密着して伴走するための「美彩(びさい)加工室」が設置された。様々な実践を通じて、難削材加工、微細加工、鏡面加工で世界に選ばれるブランドの確立を今後も追求していく考えだ。


IXシリーズをアピールする小櫻国内営業部長