和井田製作所がリリースするデジタルプロファイル研削盤「SPG‐XV」の可能性
「初心者でも熟練の域に到達」

株式会社和井田製作所

株式会社和井田製作所

和井田会長兼社長

スキルレス、チャートレスを掲げて、3年前に市場投入された、デジタルプロファイル研削盤「SPG‐XV」。メカトロテックで「標準化」と「高精度」の両立を掲げてアピールするなか、連日、多くの来場者が足を止め、説明に聞き入った。
 営業を統括する比良常務は「この2年間で、急速に金型メーカーに浸透し始めた。長年にわたって、追求してきた要素技術開発の上に立って『形』にした自信作であり、操作法については初心者でも理解しやすい。デジタル投影機の採用で目視差がなくなり、作業の標準化が可能になってくる」との特長に加え「必要なのはCADデータだけで、チャートを描く作業時間、投影機に張り付ける作業が不要となるなど、スキルレス、ユーザーフレンドリーが追求されている」。

ここで高精度加工をサポートする機能を以下に紹介する。

▼AR砥石表示機能・・・砥石計測によって得られた、輪郭形状と位置情報を実際の砥石画像に重ねて表示。同期して動かすことで、従来は砥石像が死角になる加工でも位置を可視化できる。

▼ハイライト表示・軸停止機能・・・CAD図に対して、砥石が設定した範囲に入ると、緑色から黄色、赤色へと2段階で変わる。「軸停止」設定を行えば、指定通りのラインで、砥石の送りを制限し、切り込みすぎを防止する。

▼デジタルティーチング機能・・・AR砥石とハイライト機能を使用し、ティーチングプレイバックデータを作成する。砥石の偏摩耗を考慮した、正確な加工プログラムが作成可能となる。

▼リアルタイムギャップ表示機能・・・CAD図とワークエッジを比較し、誇張表示する。画面全域で常時、エッジ検出を行っているため、いつでも精度確認が可能。スマホ画面をタッチする感覚で、確認したい部分の精度を瞬時に表示する。

「市場で認知を得たことで、機械自身が営業をしていく段階に入り、他社との差別化が更に進んでいる」との成果に触れながら「正確にポイントが取れることで、総形工具づくりでも有効な提案が可能となる。ニッチ分野ながらも、困っているユーザーには朗報だと思う」と訴えた。
 最後に和井田会長兼社長に切削工具の動向につてコメントを求めると「世界的にも需要の方向性がはっきりとしない。欧米、アジアともに工具関連の動きは良くない。いつ、立ち上がってくるか。中長期的視点が必要になってくると思う」との答えが返ってきた。


 メカトロテック閉幕から一段落した10月30日、日本機械工具工業会(JTA)秋季総会の一環で、和井田製作所見学会が催された。
 1933年東京都大田区で創業。高山市長とのご縁もあって、1941年に高山工場建設、1946年に和井田製作所が設立された。
 和井田会長兼社長は「高山は、かつて東大寺の建設に際し、宮大工を派遣した地でもあり、匠の精神が息づく。その伝統を擦り合わせ技術に応用できないかという関心もあった」と言う。
 研削盤は、精度、剛性が勝負であり、その摺動面やテーブルにキサゲを施し、擦り合わせ技術を駆使することで、命脈が保てる。
 「当社機で難削・脆性材のSiCウエハを加工すると、高速でかつ高精度な加工が可能で、ウエハの面粗さはRaで0·34ナノに達する」とのことだ。
 参観後の質疑応答では参加者から踏み込んだ質問がなされ盛況な見学会となった。


JTAが和井田製作所工場見学を実施