古林常務就任10周年記念インタビュー タングステン不足の中、サーメタル販売の機会に‐ダイジェット工業

古林常務
製造担当の取締役を経て、2015年6月に常務に昇格。今年で10周年を迎えている古林常務を訪問した。
「10年間、ひとつのポジションに身を置くのは初めての経験。合金の生産技術を皮切りに、耐摩、切削工具それぞれの分野すべての部署を、ほぼ1年から2年ピッチで担当させて頂いた。従事していないのは総務だけで、今、振り返ると貴重な経験をさせて頂いたと思う」。
経験の場数にも通じるが「工具関係でお邪魔した場合は課長、耐摩では工場長、合金では社長がそれぞれ対応してくれた。工具は消耗品、耐摩は資産になる金型、合金は素材。扱い品の性格に応じて、担当者のクラスが違ってくる」との、興味深いエピソードに言及してくれた。
今では、専門分化が進み、古林常務のような足跡を刻んでいる人は、ダイジェット工業内にはいない。
「会社全体を俯瞰できる人材育成をどうするかと言う観点で、2016年に経営企画部を創設し、各部署の課長クラス4人で編成、スタートした。出身部署が違うため、相互に刺激を受ける場にもなり、将来的な幹部育成にも通じていく役割を担う。2カ月に1度の経営会議にも参加し、社長とも意見交換するため、社長の諮問機関としても機能する」。
3年レンジでメンバーが入れ替わり、今では10人を超えるスタッフが経営企画部経験者となっている。
「今、業界では、工具の原料となるタングステンが品薄状態で、価格面でも高騰を続けている。中国による輸出規制が大枠としてあるが、当社としてはチタンをベースとするサーメタルの販売に注力する機会と捉え、供給面でご迷惑をおかけしないよう、対処していきたい」。
昭和32年大阪市生まれの68歳。野球、ゴルフで汗を流す。