栄工舎新潟工場内に導入された米国・トランザーフィルター濾過機。メンテフリーが何よりも魅力と言う。
ロロマティックにセットアップされた米国・トランザーフィルター。栄工舎ではメンテナンスフリーが一番の魅力になっている
- 栄工舎新潟工場に、米国・トランザーフィルター製濾過機が据えられて、およそ4カ月が経過した。
- 「ものづくり補助金を活用して、昨年10月末にロロマティック629XSにセットアップした」との安部川洋司社長の言葉を継いで、オペレーターの渡辺勝彦係長は、濾過機に対する考え方として「研削油を常に『「まっさら』の状態に保つことで砥石の寿命を伸ばし、超硬粉などの影響から機械を守り、そして何よりも機械そのものの性能を活かし続けることを期待している」と語った。
- ロロマティックXS(ローダー付き)で渡辺係長の手がける仕事は、栄工舎でミニシリーズと呼んでいる、カッター系の標準品の量産。
- 「とは言え、1ロット100本あれば多い方。少ない場合は20本程度。厚み、サイズ違いで、都度、手を加えていかないといけない」と少量多品種への対応が基本にある。
- 濾過機は、珪藻土と言う考え方があるが、1週間から2週間もすると、フィルターが目詰まりし、クリーニングが必要になる。
- 「稼働させて、まだ、4カ月だが、現時点での一番のメリットと言えるのは、メンテナンスフリーと言うこと。クリーニングのたびに最低でも1時間は機械を止めないといけない。その手間が要らないというのは大きい」。
- メンテナンスに要する経費と機械を止めることによる目に見えない出費、それぞれの「出銭」を防いでくれる。言わば、ランニングコスト「圧縮」に貢献する。メーカー説明によれば、10年くらいは、機械を止めなくてもいいそうだ。
- 「精度という点では、工具の面粗度がアップしていることが実感される。研削油は、珪藻土レベルのクリーンさがキープできており、劣化が見られない。機械そのものの性能を引き出してくれていると思う」。
- 渡辺係長は、栄工舎に入社して12年目を迎える。一通り経験した後、NC機を担当するようになり、ロロマティックなど、全加工機のオペレーターとなり、4年が経過している。
- 「シミュレーションして、形に織り込みながらの作業は面白い。特に、複雑なことができた場合は、興奮すら覚える」と言う。
- テスト加工用に導入されているDMG森精機の「Eco Mill」で性能評価を出す。トライアルそのものに、オペレーターに留まらない、技術者としての喜びを渡辺係長から感じた次第だ。
- 栄工舎では、ここ数年来、老朽化更新や、熱処理設備をはじめ、内製化への諸設備を相次いで導入し、精度向上をはじめ「短納期化、在庫切れ解消」などを目指してきた。
- さらに1月号でも触れたが、栄工舎新潟工場は、前工程を手がけていた広神工場を統合して「旋盤~フライス~熱処理~研磨~検査~包装~出荷」という一貫体制を敷いていく。 新工場建設も4月とまじかに迫り、「製造」の新たな段階を見据えていくことになる。
渡辺係長は、全加工機を扱うようになって4年。形を織り込んでいく作業が面白いそうだ。