多様な工具づくりで、活躍する静岡のマエダアソシエイツ。ボールエンドミル制作で新たな可能性拓いた宇都宮製工具研削盤
前田完社長
- 今年は「TGR‐250」の自動化バージョン発注へ、宇都宮機は総計6台に
- ◆
- 1955年、木工用刃物の刃付けでスタートした静岡のマエダアソシエイツは、今では木工用のみならず、一般金属用ほか、CFRPといった難削材用と、多様な再研、製造に取り組む工具メーカーとして成長。工具種もインサート系、軸モノ系はじめ、メタルソー・バンドソーなど、実にバラエティーに富む業容を成す。
- 2006年、30歳の若さで3代目の社長となった前田完社長は「メーカー再研に出しても断わられるケースが当社に回ってくることが多い。その分、競争に晒されることがなく、単価が安くても利益を生み出す工夫を追求できる」。
- 多様な受注内容であるため、設備の活用法、方法論の検討を通じて、どうすれば、できるようになるかを常に意識しているそうだ。
- 「ノーと言わない、言わせない、を信条にしている。おかげさまで、コンスタントに5%~30%の成長を達成している」。
- その着実性は、リーマンショック時でさえ、売り上げは10%程度の減少にとどまったことに如実に表れている。
- 設備の話題になるが、CNC工具研削盤を初めて導入したのが2003年、ボールエンドミルの再研磨がきっかけだった。
- 「切粉を逃すポケット、角度など、色々と工夫を重ねながら、設備を駆使し、ニーズに対応してきた。が、やがて『壁』にぶち当たった。その打開に向け、2006年に開催されていたJIMTOFに足を伸ばし、相談に乗ってもらいながら各メーカーを回ったところ、宇都宮製のTGR200を知り、導入を検討することになった」そうだ。
- そうして2008年に、ボールエンドミルの安定した加工を目的に「TGR‐200」を導入、ほぼ同時に小径を視野に入れて「XGR‐DD」を設備した。
- 「両機種はエンドミルの再研、製造で活用している。ロット数は、1本、2本から100本単位まで、実にバラバラだが、仕事量が拡大していくなかで、特にボールエンドミルの加工が安定して対処できる、魅力は大きい。R精度は理想に近い形と言ってもいいだろうか」。
- 対応工具種はドリルだけではない、と一貫して、宇都宮製作所はアピールしてきたが、エンドミルで成果を挙げている現場に遭遇して、筆者も納得した次第だ。 その後、TGR‐250を2台、そして今年はTGR‐016を現場に据えつけた。宇都宮NC機は合計5台を数える
- 「宇都宮製工具研削盤は決して使いやすい機械ではない。別言すれば、使いこなしていく魅力に溢れている。プログラムの追加が柔軟で、そのカスタマイズに魅了されてしまう。機械精度も高い。ボールエンドミルは全数検査を徹底しているが、安定した仕事ぶりを常に実証してくれている」。
- 「今期はTGR‐250の自動化バージョンを導入予定。気が付けば、宇都宮製工具研削盤のヘビーユーザーになっていた」と前田社長は苦笑いした。
マエダアソシエイツ外観
宇都宮コーナーと言ってもいいくらい多数設備されている
刃先の状況をチェックする前田工場長