小径需要は予想以上に進展、新工場増設も視野に。日進工具

日進工具株式会社

日進工具株式会社

予想以上の需要拡大を前に、日進工具は新たな工場建設も視野に入れ始めた(写真は昨年完成した新工場)

  •  3月7日の東証2部上場から半年後の9月8日、日進工具は東証1部上場を果たした。
  •  後藤弘治社長は「最短で実現したが、予定通り。東京は、上場企業の『集積地』であり、その中で企業価値を意識し、信用頂いてブランドを世界に売っていくことに意義があると思う。当社の工具を使って頂いている現場の人ばかりか、幹部の方にも(日進工具を)認知いただければ」と1部上場の意義を語る。
  •  日進工具は、この間、「つくる」の先をつくるという標語を掲げてきた。
  •  「売り上げは、マーケットに左右されるものの、先進の加工技術でマーケットを拡大させていく、その過程で、最先端のもの(市場)が生み出されてくる。これまで不可能だったことが可能になるよう、小径に特化した我々のノウハウでサポートしていくことを仕事と捉えている」。
  •  スマートフォンは、今や最上級の部品で構成されている。
  •  「アップル、サムソンという2トップのスマートフォンの構成部品は、すべて日本製にしていこう、を合言葉にして前進していきたい。我々、日本人には、ビルゲイツやスティーブジョブスはいない。他国が追随できない高精度部品の供給を通じて、まだまだ、伸ばしていける領域はある」。
  •  自動車業界はEVシフトが加速する勢いにあり、需要の大きな変化が予想される。
  •  「エンジン車はゼロにはならない。自動車は、長距離移動は付きもの。今、都心部で、いったいどこにステーションを設置していけばいいのか。国ごとの事情があり、発展の度合いが異なることを考え合わせれば『棲み分け』せざるを得ないと考えるのが自然ではないか」。
  •  自動運転で要求される車載系部品や電子部品などの分野の加工で象徴されるように、小径需要は益々、拡大している。
  •  「世界市場を概観した時、需要の拡大が予想以上に進展している。供給能力の向上目指して昨年、仙台工場を増設したが、新たな工場増設もすでに視野に入れ始めた。サプライヤー責任という観点では、ニーズに応じることができる生産体制と流通及び社内の適量在庫管理を行っており、通常時だけでなく有事の時にもお客様へ工具をお届けする体制を常に考えている。この強みは、東日本大震災時に実証されている。今後の需要動向の大きなポイントは高齢化と人手不足。今後の需要の発生源は基本的にこの2点に集約されていくと思う」。
  •  小径工具は使い方とセットでなければ浸透させて行くことが難しい分野。
  •  「小径加工用のCAMを提案させて頂いているのも、この一環。各現場でアプリケーションの幅を広げていっていただき、ともにノウハウを積み重ねていければと考える」。
  •  後藤社長は景気の良さをひしひしと感じると言う。
  •  「継続実施されている、アベノミクス効果は大きいと思う。中間決算発表も、上方修正のアナウンスが多い。未来を見据えて企業体質を強化しつつ、多くの日本企業は前進している」。
  •  高まる需要に、日進工具は、次の一手をどのように打っていくか、楽しみだ。