中京の米国製トランザーフィルターの効用。工具の品質向上ほか、多数のメリット享受。川瀬製造次長
回転工具の設備増強で6月に工具研削盤を導入。その濾過機としてトランザーフィルターを設備した。砥石や機械の寿命にも貢献できそう、と川瀬次長は語った
- 「見てください。新品の様な透明感でしょ?」‐そう言って、米国製トランザーフィルターでろ過された研削液を指さしながら川瀬敦博製造部次長は笑った。
- 今年6月、回転工具用の設備増強で、NC工具研削盤を導入し、その研削液の濾過装置として、設備された。
- 「イニシャルコストの高さを気にする人もいるようだが、たとえそうであっても、この『マイナス面』をカバーして余りあるほどのメリットがある。濾過能力の高さはもちろん、メンテナンスフリーであり、クーラントも変えることがない。工具を傷つけず、砥石も長持ちする」。
- 導入効果は期待以上「スラッジが機械に付着して、機械部品そのものを傷つけることから解放された。高い濾過能力そのものが、機械の寿命を伸ばすことに寄与するし、高い研削液をほとんど購入することなく(付け足すだけ)、使い続けられる。言わば、直接、『出銭』を減らせるメリットに通じる。すでに来年にも、もう一台米国製トランザーフィルターを設備する計画だ」そうだ。
- 現在、当該設備の稼働時間は月間、200時間以上。回転工具の需要をにらみながら、増えていく勢いにある。 中京の拠点工場である豊明工場では、自動車部品加工向けがメインを成す。
- 「EV車への対応として、チッピングレス工具を狙っていくことも念頭にある。また、数年前から航空機の分野にも、少しずつ、手がけるようになってきた」。
- 設備増強という点では、PCD工具の刃付けの仕上げ加工で、最新鋭のワイヤカットを10月に導入したばかりだ。
- 「NC機だけではなく、匠の技を駆使していくことも追求している。汎用機は20台以上、レトロフィット(改良を加えてオーバーホール)しながら、他社との差別化を図る可能性を展望している」。
- PCD、CBN工具の特殊対応で実績を積み重ねる一方、ここ数年来は標準工具の販売でも徐々に成果を挙げてきた。
- 「特にPCDエコ・へリックスは、波長の短いもの、ネジレの強いもの、樹脂対応・・・というようにバリエーションを豊富化して、ニーズに応えながら、市場を拡大させてきている」。
- 設備は、生産性アップを目指す加工方法に着手するためにも必要、との考え方を示しながら川瀬次長は「来年は一億円程度の設備投資を実行したい」とアグレッシブな姿勢を崩さない。
汎用機を駆使していくことで差別化がさらに追求される
濾過され、きれいになって帰ってきた研削液が、再び活躍する
濾過機導入メリットは予想以上、と川瀬次長は語った