差別化の筆頭、田野井製作所の「ゼロチップタップ」詳述。カーメーカーの間で大ブレーク。タイ市場でも着実にリピート発生
吉川雅也課長
- 田野井製作所の差別化製品の筆頭とも言えるゼロチップタップを紐解けば、16年前に遡ると言う。
- 吉川雅也課長は「その頃、ある内部給油タイプのタップの試作で、加工負荷の高い加工にトライしていたが、折れてしまい、剛性を上げるために溝を入れた、これがゼロチップタップの原型。自動車関連メーカーの方が興味を抱いて、ご協力いただくことになり、およそ2年間、何度も、何度もトライしながら改良を重ね、2007年、実際に、カーメーカーの現場でテストしたところ、大ブレーク。切粉の完全除去、加工速度、工具の長寿命化、製造単価の切り下げ・・・と、その効果を検証いただくことになった」そうだ。 内部給油タイプのタップは、他社にもあったが、次々と置き換えられていき、他のカーメーカーでも試してもらい、横展開していくことに。
- 「そのうち、特殊対応では、供給面で満足させられないと判断し、標準化への道を選択した。切粉を噛み込んでねじが不良になってしまう、そんなトラブルを解消して安定加工できることによって、ハイス+コーティングでも寿命が超硬以上になることも。多くの場合は3倍から5倍へと工具が長持ちする。2年前からバリエーションを本格的に整えていき、現在、型番で11種類、アイテム数では327種類に上る」と言う。 ゼロチップタップの名前は、切粉残りが「ゼロ」に由来する。鋳物をはじめアルミダイキャスト、鉄系などの被削材がメインだ。
- 「タップは最後のハイス工具と言われる。欠けに対するリスクをヘッジするうえでは、超硬ではやりきれないアドバンテージがある。標準化するや否や、代理店の方からの『食いつき』も早く、即、在庫頂くことになったことにも自信を深めた」。
- 標準化以降、この2年間、吉川課長の言葉を借りれば「全勝」している。
- タイでの拡販は、1カテゴリ1メーカーと言う取り扱いをしている「ファクトリーマックス」を軸に展開している。
- 「ゼロチップタップも在庫して頂き、すでにリピートも発生している。1年に5、6回の頻度で、訪タイし、問題が多いネジ加工に関するトラブル改善のための同行PRを展開。スタッフの方からは『高いが満足していただける』と自信を持って頂きつつある。売り上げでは、日系、ローカルはほぼイーブンだ」。 拡販と同時に、ブランド力をいかに上げていくか、吉川課長が課題に据えた。
ゼロチップタップ「ZC-HT」