
ZOLLER Japan大阪本社で開催されたプライベートショー「ZOLLER HUB」。
通常では出会えない顧客との接点が持てたと好評だった
原材料入手の困難さが話題になるとは誰が予想しただろうか。
超硬工具製造に関わるタングステンの中間材料であるAPT価格が、わずか1年を経た1月時点で、5倍に高騰し、今なお、上昇傾向を辿っている。連動してタングステン粉末、超硬合金(さらには使用済み超硬スクラップ材価格)も同様に値上がりしており、超硬工具への価格転嫁のタイミングと改定幅が経営上、大きく左右する事態を迎えている。
「素材が高くても入手できる段階なら、価格転嫁によって工具製造は可能だが、入手自体が難しいとなると、工具の供給自体ができなくなる。ユーザーは加工方法の検討に入るだろうし、再研磨の可能性を広げていくことも十分、考えられる」。
使用済みの超硬材料が1キロ当たり7千、8千円で売り買いされていたと思っていたら、今、中国で取引すると1万8千円が相場だと言う。使用済みの超硬工具(紛)が中国に流れ、この流れが止まらない、とも事情通の方に聞いた。
この混乱の火種は、言うまでもなく中国によるレアメタル/レアアースの輸出規制が背景にある。流通する80%に関わっていると言うから、事態は深刻で、ほとんどの日本の合金メーカー、工具メーカーが直接、影響を受け、年末年始から悲痛な声が上がり始めた。
「ウチはまだ、大丈夫」という人もいるが、十分な在庫があるからと言うレベルであって、鉱山を所有しているわけではない。
では中国依存からの脱却で、問題は解決するのだろうか。
サンドビックやイスカルなどのIMCグループなどは、それぞれ、グループ会社を含め、独自のルートを持っており、中国依存度は高くない。この点は日本の工具メーカーと決定的な違いになる。
直面している原材料や素材の高騰、品薄の状況から逃れられないとすれば、新たな入手ルートを模索しなければならない。価格を考慮しての新規の取引が可能なのか。ユーザーから見れば再研磨工具の比重も高まってくるだろう。米中に物申すことができなければいけないのは確かだ。
1月とは違い、2月に入って実務的な商談が増えてきただけに、超硬素材の品薄、高騰に関する話題が絶えなくなってきた。展示会やプライベートショ―でも、周辺領域である機械メーカー、ツーリングメーカーから、工具について「どうなんですか?」と聞かれることが増えてきたと言う。自らも工具を使う立場だからだ。
まさに「旬」の話題であり、機械工具工業会にも、今後、団体として、どのように取り組んでいくか、取材を計画したい。