牧野精機ユーザー「アヤボ」は新作リーマ―の開発にTADを導入。モデル確立へ

牧野フライス精機株式会社

牧野フライス精機株式会社

新設計リーマーの開発で今年1月に導入された。

 

  •  工具の「再研・再コート」を掲げ、スタートして以降、14年の実績を積み上げているアヤボが「新設計工具(リーマー)の開発」に向けて、牧野フライス精機製の段研「TAD」を導入した。
  •  塚本社長は「愛知県の開発支援の一環として位置づけられている『新あいち創造研究開発補助金』を昨年4月に申請、自動車部品の超精密穴あけ加工を可能にする、新設計リーマーの開発をテーマとする内容が認められ、TADの導入に踏み切った」との経緯を語る。
  •  開発に当たっては、リーマーは径についてシビアであり「振動抑制」を課題に掲げた。精度良く削れるかどうかが大きな基準になるからだろう。
  •  TADを選定した理由については「導入して3年になる、同じ牧野フライス精機製工具研削盤AGEへの評価が高いこともあって、TADに着目。径1ミリのブランクを補正なしで50本連続して+-1ミクロン以内に収める『テスト』に見事にクリアし、期待以上の性能を示した」からだと言う。
  •  アヤボでは今年の1月に導入して以来、この半年間、リーマーの切削試験を繰り返し行ってきた。
  •  開発を直接手がける高須取締役は「革新的な自励振動理論を用いたモデルの解析により、最適なリーマーの分割角度を予測できるようになった。実際に加工中の動的振動を観測・解析し、リアルタイムで何が起こっているか把握しながら、工具の性能を検証している」との意欲を語る。
  •  アヤボのPVDコーティングの技術力を活かした再研削事業は年々、拡大してきており、超硬のエンドミル、ドリルを中心に月産で2万本を研削。うち2割がОEM、特殊対応含めた製作もので占めるようになってきた。
  •  塚本社長は「再研削と言うよりも、顧客が満足のいく工具の『再生』を目指している。売り上げの伸びは、新規の伸びに連動しており、福岡・大牟田にある九州工場でも再研削事業が立ち上がっており、このエリアでの需要をさらに喚起していきたい」。
  •  現場に据えられている、主な設備である工具研削盤のメーカーは、WALTER、EWAG、ANCA、ROLLOMATIC、牧野フライス精機、宇都宮・・・と実に多岐にわたる。
  •  塚本社長は「リーマーのモデルが確立できれば、次は生産機として、TADの発注をかけていきたいと思う。世界最高性能を目指す、国産機への期待は大きい」とこだわった。

 

TADを担当するオペレーター、中根さん

TADを担当するオペレーター、中根さん

 

アヤボの現場には、多岐にわたる工具研削盤が活躍する

アヤボの現場には、多岐にわたる工具研削盤が活躍する