米国製トランザーフィルター濾過機導入し、アンカ製工具研削盤を集中管理するエーワン精密

トランザーフィルター

トランザーフィルター

工具部門を統括する金丸常務

  • 中長期的な視野で、米国製トランザーフィルターの濾過機導入を決めた‐と語るのはエーワン精密で工具の再研磨・製造責任者を務める金丸信行常務。
  •  「ローダー付きのANCA製FX3台の導入検討に合わせ昨年6月、米国製トランザーフィルター濾過機『Ⅴ9E/V18』の発注をかけた。限られた工場内のスペースの有効活用を図るため、濾過機は工場外に配置し、将来を見据えながら既設のANCA製工具研削盤7台と合わせ、計10台に対応させる集中管理方式を計画した」そうだ。
  •  事前にⅤ9E/V18を据え付けるために専用の建屋を建て、研削盤が稼働する工場との配管工事や研削液の入れ替え(約6000リットル)などの準備を整え、今年の3月から稼働スタートさせた。
  •  「付け加えるなら、導入したⅤ9E/V18は、さらに10台の研削盤に対応できる能力の拡張に対応可能な、先行投資的設備でもある。現状、10台のANCA製工具研削盤は、月間で約150時間稼働しているが、この3か月間、スラッジが完全に除去されており、研削液は常にきれいに保たれている。スラッジの排出も自動的に行ってくれるので、とても楽だ。従来、発生していた砥石の目詰まりもなく、面粗度も良好だ」との評価を下す。
  •  ANCA製工具研削盤が稼働する工場は、超硬工具製造に特化した工場で、濾過機が「外付け」のため、スペースの確保ばかりか、見た目のラインが、非常にすっきり。「半分近い、省スペース化を達成した」ことになるようだ。
  •  エーワン精密は、自動盤用のカム、コレット、そして工具の順で、事業を拡大してきたが、再研磨のスタートは1999年から。コレット・チャックの顧客から「工具の再研磨・再コートもてがけてみては?」が工具に関わる原点。製作については「テーパの半端な角度で困っていた顧客に対応して喜ばれたのがきっかけ」と言う。
  •  「製作工具への対応でANCA製に着眼したのは、同業者から勧められたのがきっかけ。JIMTОFで実機を確認し、2007年から導入して工具製作を本格化させた。以来、自由度の高さに魅力を感じ、ANCA製に特化している。CCDカメラによる、機内で工具確認ができるメリットも大きい」。
  • ロウ付け工具の短納期対応も視野に 太径の需要も拡大へ

 

  •  エーワン精密の工具部門は、研磨スタッフ28人(うち女性7人)で、再研磨と製作合わせ月産2万5千本~3万本をこなす。売り上げでは前者7割、後者3割の比重になる。製作ものは、エンドミルが主体。径12mmまでが多いが、太径も出てきたそうだ。
  •  「今後は、ソリッドのみならず、ロウ付け工具の短納期対応も視野に入れ、構想を練っているところ」とのビジョンを明かしてくれた。
  •  金丸常務は入社30年。工具研磨部門の立ち上げ時からのエキスパートで「工具に携わるようになって、もうすぐ20年になる」50歳。山梨県出身。

 

ANCA研削盤がずらりと並ぶ

ANCA研削盤がずらりと並ぶ

 

繋がれた配管で研削液が循環する

繋がれた配管で研削液が循環する

 

濾過機専用の建屋の中に据えられ、集中管理する

濾過機専用の建屋の中に据えられ、集中管理する