精密部品の切削加工に特化する羽下製作所(東京・大田区)。ユキワ製スーパーG1チャックで切削音が静かに
羽下会長(右)とともに
- 現場に入ると、DMG森精機の旋盤、マシニングセンタが目に飛び込んで来る。
- 3代目の責任者である羽下哲朗社長は「2016年にミーリング機能付きの複合旋盤NLX2500、2017年に5軸マシニングセンタのDMU50と相次いでDMG森精機の設備を導入した。仕事量拡大への対応、人手不足を補完する役割を担うものだが、今年の11月にも同じNLXを導入していく計画」との、設備対応を語る。
- 昭和39年11月の創業以来、一貫して精密機械部品の切削加工に特化した生業を特徴とする。被削材はアルミ、そして鉄でおよそ8割を占め、ロット数では10個以下。1個~3個も珍しくないと言う。
- 「現在、間接的ではあるが、発電や半導体関連の仕事が増えてきており、精度確保や納期対応は当然ながら、見栄えの点でも留意するようになってきた。元々100ミリ~800ミリ辺りの四角いものの加工が多かったが、NC旋盤の導入を契機に、径100ミリ~300ミリまでの丸ものの加工を手がけるようになってきた。とは言え、多品種小ロットであることに、今も変わりはない」。
- メインの取引先は2社、その他を入れて計5社からの仕事が中心。2か月先までの仕事は見えているそうだ。 ユキワ精工のツーリングとの出会いは、ことしの2月、大田区・Pioで開催された講習会だった。
- 「毎月、開催している、この研究会では、毎回、メーカーの方にお願いしてセミナーを請け負ってもらっているが、この時はユキワ精工の酒巻社長が、ツーリングについて講演された。カタログ上の仕様値と実加工における数値との違いや、お客さんで得られた工具長寿命化、面粗度のアップといった実例の紹介をはじめ、ツーリングの、見た目だけではない内部の構造、さらにビビリ発生の原因、そしてスーパーG1チャックのポイントについて概説。終了後、直感的に『試したい』と思い、申し入れた」のがきっかけ。3月から現場でスーパーG1チャック2本を活用している。
- 「扱う材質が難削材でもなく、また、数量を数多くこなしている訳でもないので、精度や、工具の寿命などについて、どのような変化があるか、明確にはわからない。しかしながら、他のツーリングと比べ、切削音は、確かに変わった。高送りなど、負荷をかけても静かになったと思う」。
- 切削音が静か→ビビリの抑制→面粗度の向上という流れが考えられるだろう。その意味では「見た目も重視」という志向に添うだろうか。
- 「東京という土地柄もあるが、展示会、講習会には頻繁に足を運び、進取の気性というのを大切にしていきたいと思っている。今後は、人の確保に注力し、請け負える仕事の範囲を拡大していけるようにしていきたい」。
DMUに装填されたスーパーG1チャックを指さす羽下社長。切削音が静かになったと言う
DMUを操作する羽下社長