スーパーG1チャックの採用で、ロボドリルによる「横挽き加工」が可能に。マイスター
ロボドリルで横挽きが可能になったと語る国井マネージャー
- 山形のマイスターと言えば工具の再研磨グループを牽引する切削フォーラム21を代表する企業として、業界でその名を知らない人はいない。が、もうひとつの柱として、自動車や半導体関連の部品加工分野でも、実績を積み重ねている。国井製造マネージャーを訪問し、ユキワ精工のスーパーG1チャックを切り口としながら、部品加工分野での特長を紙面化した。
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- 直近の売り上げはマイスター全体で10%~15%アップしている。
- 国井マネージャーは「部品加工分野でも、最近の5年間で仕事量が急拡大している。自動車のモータ関連の金型部品が多く、次いで半導体のアクチュエータやコンデンサの吸着部品関連などが占める。当社は『角もの』を得意としており、寸法精度の厳しいニーズにも対応できている点が評価に繋がっていると考えている」。
- 自動車関連部品は車種ごとに異なる。
- 「この結果、ロット数は1個、2個単位で、種類は何十種類とある。求められる寸法精度は±2・5ミクロン以内。溝の仕上げでは、ワイヤ放電のみならず、マシニングセンタも活用している。一方、半導体関連は、20年来、ワークは手のひらサイズの小さいものが多い。寸法精度は同様に厳しい」そうだ。
- 部品加工に従事するスタッフ数は20人弱。仕事量増大にも直で対応している。
- 「残業時間を減らして、いかに効率を上げていくか。無人運転を可能とする設備導入、ボトルネックの洗い出し、CADをはじめ、専門分化へのトライアル・・・など、いろんな側面から取り組んでいる」。
- 特に無人運転の追求では、2年前に松浦機械の5軸加工機「MAM72‐35V」を導入した。
- 「32パレット装填され、ツール本数では160本を数える。1日15時間稼働させており、小ロットへの対応は、工夫の連続で考えている」。 ロボドリルでは不可能だった「横挽き加工」が可能に
- 国井マネージャーの従来のツーリングに対する考えは「30番主軸の機械ではエンドミルは使えない。加工では、機械と刃物が大切で、ツーリングはあまり意識していなかった」そうだ。
- 「ところが、2014年のブラザー工業・スピーディオ導入時に、ユキワ精工さんの営業マンの方が来られ、ツーリングを試して欲しいと提案され、その結果に唖然とした」と言う。
- 国井マネージャーは、トライアルとして、ロボドリルに同じ工具(スクゥエアエンドミル)を使って「横挽き加工」に挑戦したのだった。
- 「従来のツーリングではできなかった横挽きが可能となり、機械のリニューアルにも通じていく、新たな『発見』とまで言えるものだった。ビビらず、しかも面粗度もアップした。穴あけ加工のみならず、ロボドリルで対応できる選択肢が増えたことは、当社の現場にとって画期的な変化だった」。
- 現在、スーパーG1チャックは、スピーディオに2面拘束仕様が30本、MAMには100本装填されている。
- 国井マネージャーは「機械と刃物を繋ぐツーリングの大切さを思い知らされた。ユキワ精工さんのコレット技術の高さには舌を巻く」と絶賛する一方「多品種で、特殊対応の多い現場なので、特殊なサイドロック対応のツーリングも手掛けて頂ければ、と思う。今後とも、良き相談相手になっていただきたい」とのユキワ精工への期待を語った。
コレット技術には高い評価が下された
月間15時間稼働する松浦機械のMAM72−35Vには、総計100本のスーパーG1チャックが装填されている