バリを極小に抑える「ハイブリッドドリル・ゼロバリ」群を抜く位置決め・穴精度H6レベルが一発で 米国製トランザーフィルターユーザー「ギケン」(福井県)
不良の発生や機械の不具合が解消されたと語る石川者社長
- 機械稼働をサポートする米国製トランザーフィルター「V4InLine」
- 「クーラント液のきれいさをキープ。工具不良の発生や機械の不具合が解消」
- 空気の汚れなど、現場の諸問題にも目を向ける機会に
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- アルミ用を皮切りに、鉄、SUS、CFRP、CFRTPと多様な被削材への「バリを極小に抑える」ドリルで定評のあるギケンを訪問した。
- 「3年前にハイブリッドドリルとして『ゼロバリ』をリリースし、現在、月産最大1500本を製作。コンマ1とびで、径2ミリ~径16ミリをラインナップし、当社の中心アイテムに成長している。およそ40年前から、東京で再研磨や特殊工具製造を手掛けてきたが、平成21年に、福井県から工具製作の打診があり、図面が送られてきたことが、福井で仕事を手がけるようになったきっかけ」と言う。
- 当時、福井県は、航空機や自動車用の「CFRPの集積地」として、次代を担う産業構想を描いていた。
- 「試作工具が福井県工業技術センターで評価され『CFRP用のドリル』はギケンでしかできない、と言われるまでに。最終的には2000穴開けることに成功した」。 その後、是非、福井県に、と誘われ「これまでのノウハウを活かせる場所、モノがようやく見つかった」との思いを強くし、平成25年、一大決心をして福井に居を構えたそうだ。
- 「貸工場の物件を見つけ、ものづくり補助金の適用にも成功して、ANCA製RX7を導入した。切削抵抗を抑える様々な形状にトライしながら、およそ1年かけてドリルのさらなる改良に没頭していった」。
- 結実したのがハイブリッドドリルで、3年前から、サカイなど、流通での本格販売がスタートした。
- 「販売量も増え、工具研削盤は、ANCA製はRX7に加え、昨年12月にMX7を追加導入、他に牧野フライス精機製AGE30、CNJ―2と、NC機は合計7台を設備している。高いニーズを背景に、24時間フル稼働のRX7とAGE30による、2台での稼働率は高く、これに伴って、濾過が間に合わなくなる事態に直面。生産効率の低下や不良品の発生ばかりか、AGE30で、不具合も出始めるようになり、濾過装置をいろいろ調査したところ、多くの実績から、米国製トランザーフィルターを導入することに決定した」。
- 新旧のクーラント液を混合して試したところ、真っ黒なクーラント液が、一回で透明さを回復したと言う。
- 昨年12月には「V4InLine」が据えられ、3台(MX―7、RX―7、AGE30)の工具研削盤に対応することになった。
- 「3カ月以上が経過したが、クーラント液がきれいに保たれ、不具合も解消された。チラーにより、油温が一定のため、精度面でも安定し、このことによって砥石の差の『見える化』にも繋がった。さらに空気の汚れといった諸問題が見え始め、トランザーフィルターの濾過機導入によって、5Sにも通じる現場に配慮すべき観点が浮き彫りになってきた」という「副産物」も得られたようだ。
- ギケンでは、今後、アルミ用のバリエーションを増やしていくとともに、耐熱合金用のハイブリッドドリルも開発、製品化していきたいとのことだ。
- 「そのためにも販売網を拡充し、代理店そのものを増やしていきたい。山善・国際部とは、今年から付き合いを開始していく」。
- バリをいかに抑制するか。ドリルの古くて新しいテーマに石川社長は今後も挑み続ける。
CFRPの、側面からの加工も可能にしている
連結して3台の工具研削盤に対応する。