1928年創業のイワタツールが90周年。お祝いに300人近い関係者が駆け付ける。
勢いよく鏡開き
- イワタツールが創業90周年を迎え、2月19日には、希望者による工場見学の後、名古屋市内のホテルで祝賀会が開催された。参加者は300人近くに及び、しかも仕入れ先・販売先といった直接の取引企業関係者のみならず、同業者や金融機関、さらに今後を見据えた岩田社長の活動に関わる人々が多数お祝いに駆け付けた。
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- イワタツールは、岩田昌尚社長の祖父に当たる岩田千代吉氏がセンタードリルの二番取り製法の特許を取得して、1928年に熱田区金山町(現金山駅南口近く)で創業。1940年には株式会社岩田鉄工所が設立され、戦争の本格化、そして戦後という波乱を経ながらも、創業期からのセンタードリル、職人の技術の幅の広がりを展望して着手したバンドグラインダーを軸に発展。そして1990年ごろからは切削工具メーカーとしての歩みを着実なものにしていき、1998年には社名もイワタツールに変更された。 海外グループ加え総勢80人体制に成長 現在、国内で働く従業員は40人で、中国やタイ、スイスなどの海外グループを入れた総数では80人となる。
- 守山区にある本社工場は、様々な研究開発に従事する企業が集積する「テクノヒル」に位置しており、6204㎡の敷地に、第一工場~第三工場のほか、熱処理工場や昨年末完成した集中クーラント棟から構成されている。
- 「1990年代以降、NC化を推し進めるなか、超硬工具の比重が高まっていき、ロロマティックや碌々産業の微細加工機等を設備するようになった2005年辺りを起点に小径化が加速。現在、径6ミリ以下が85%を占めるまでになっている」との現状を岩田社長は語る。 GPドリルやトグロンハードロングドリルが「看板ドリル」に 世界最速を謳う「GPドリル」、金型のイジェクターピンなどの加工で活用される「トグロンハードロングドリル」などは、同社の「看板ドリル」として、すでに名高いだろう。
- 工場の特長は枚挙に暇はないが、たとえば、機械の稼働状況がリアルタイムで表示され、「見える化」されると同時に、生産計画に組み込まれる仕組みが確立されている。 PCDやCBNの開発・具体化に注力も 超硬ばかりか、PCD工具やCBN工具の微小径ドリルの開発にも余念がなく「得意な分野で勝負していく」(岩田社長)姿勢を堅持する。
- 祝賀会の冒頭で、2代目社長の岩田吉廣会長が登壇し「28歳で2代目の社長となり、センタードリルの量産化や熱処理に心血を注いだ。品質、材質については完ぺきを期した」と語り、続いて岩田社長が挨拶に立ち「受け継いだものは何か?真面目にモノを作る」と自問自答しながら「すべてのものが90年を刻み、信用、信頼となって今に続いている」「大学ではコンピュータについて学び、プログラミングは、言わば私の原点」「人との繋がりの有難さを感じ、どこに行っても『彼が息子だ』と紹介を受け、財産になっている」とメモリアルな軌跡を語った。
- そして「今後は、切削工具をもっとうまく使いこなしていくための道具づくり、コンピュータを活用したものづくりを展望していきたい。海外での拡販、製造もさらに推進していきたい」との意欲を語った。
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- 祝賀会では「コネクティッドインダストリーズと切削工具」のテーマで、パネルディスカッションも開催された。
- パネラーにはベッコフオートメーションの川野社長、碌々産業の海藤社長を迎え、川野社長は「1品もののカスタマイズ化への取り組み。その内容は、量産品と同等レベルの納期と品質の達成にある」とし、海藤社長からは「IoTを活用したクラウドサービスとして、常に最高のパフォーマンスを発揮していくためのAIマシンドクター」の紹介が行われた。
- 岩田社長からはテレビ放映された「ほこたて」に即し「よくわからない材料に穴を開ける目標に対し、多数のセンサーを駆使。そのプロセスで、クーラントの量と砥石の摩耗量が関連していることがわかった」との経験が語られた。
岩田会長
岩田社長