新規設備導入前に新工場稼働成果が現実にーイワタツール。対前年の売り上げは業過屈指の20%向上達成

株式会社イワタツール

株式会社イワタツール

本社工場に隣接、稼働スタートさせたイワタツールの新工場

本社屋隣に増設した新工場が本格稼働をはじめてほぼ一月(ひとつき)。新機設備の導入を前に、とりあえずは既存の設備と適材適所の人員配置を行って生産性を向上させた。

「機械にしろ、人的資産にしろ、新たな投資なくして好スタートを切れたことはたいへんありがたい」‐新設備導入後のさらなる変化に大きな期待を寄せる岩田社長だ。

昨年来の同社の大幅な売上増は、センタードリルばかりでなく、「硬」「速」「美」を兼ね備える「トグロンシリーズ」を展開する企業として、特に関東・東北エリアにおける知名度の拡大が大きく与っている。これは、同社の存在価値の認知を進めた営業努力以外のなにものでもないだろう。こうして全製品が受け入れられたことで引き合いが増え、比例して売上増につながった。対前年比20%の伸び率は業界屈指と推察する。

今年で4年目を迎えるタイでの事業展開は、IT、自動車関連産業の活発な受注を背景に安定推移を見せ、利益率を上げている。現地従業員の技術力も向上し、日本国内と同水準の生産体制を確立。また、去年から本格スタートさせた中国大連での展開も単月決算で黒字化を実現。今後設備を増強して臨む方針だ。 スイスの販売拠点通じ 「文化の違い」で「収穫」  同社がスイスに販売拠点を設けたのには、海外の先端技術を集約させたい考えからでもあった。

「販売した工具が、日本のユーザーには予想外の使い方をされる場合があって、それが大いに参考になる。良し悪しではなく、ものづくりの文化そのものが違うからで、異なるアプローチを発見できる。軌道に乗っている欧州市場をしっかり固めていく」。 ノウハウの質と量を重視  JIMTOF、EMO、IMTSのうち、新趣向のコンセプトを紹介するEMOに魅力を感じるという岩田社長。まだ販売体制にはないものの、創意にあふれる試作品が数多く並べられ、業界の新傾向を探れる点に大きなメリットを認めている。ただ、EMO会場で出会う試作品の中に自社より優れたものを見つければ、商品化は断念するものの、次への可能性を切り拓いていく魅力ある機会にすると言う。常にアグレッシブさを堅持する岩田社長らしい。

さて、好条件の下に新スタートを切った同社は、来たる日本における一大イベントであるJIMTOFにいかなる戦略をもって臨むのか。

岩田社長は、「エンドミルの変形版を出展する。コンセプトはかなり斬新」と強気だ。「まだ詳細は明かせない」という言葉にも自信が感じられる。従来からのコンセプトに、いかなるコンセプトが盛り込まれるのか、目が離せない。 市況を観る  好況に沸いた昨年に比べ、円高や中国経済の失速などマイナス要因が多い今年は、「良くはならないと感じている」。市況が落ち着き、生産余力が生まれた今後は、「コンセプトの提案と製品化までの時間差を少なくして行く」。JIMTOFで勝負に出て、反応を見て即応したい考えだ。

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岩田社長