EV化では、新たな部品への取り組みに着目。顧客の足元の仕事は忙しいと、東陽の羽賀社長。
羽賀社長
- 東陽は恒例の新年賀詞交歓会に代えて、1月6日から20日までの間、自社ホームページに羽賀昭雄会長、羽賀象二郎社長による、新年あいさつの動画を配信した。本紙では羽賀社長の配信内容を踏まえたインタビューを実施し、新年の挨拶として紙面化するとともに、羽賀会長の発言要旨を掲載することにした。
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- コロナ禍の影響で東陽の客先の生産も一時、落ち込んだ。
- 「昨年の4月、5月は工場の停止を余儀なくされた。が、昨夏あたりから回復傾向を辿るようになり、11月以降は一挙に遅れを取り戻すべく、凄まじい勢いで工場が稼働している。足元は非常に忙しい。今後、持続を期待したい、国内、海外それぞれの需要ともうまくマッチして(遅れを取り戻すだけでなく)更なる上昇も描いていければ」との思いを語る。
- 統計では、北米、中国市場ともに自動車生産が回復しており「今後はEU全体も回復し、伸長してくることを織り込んでいければと思う。また、中国の今後の自動車生産の伸びについては、輸出と海外生産が課題に挙がってくることが予測される」。
- また、何かと話題の自動運転については「次世代」ではなく、すでに「高速道路では適用できるレベルに達している」との考えを示す一方「たとえ、既存のエンジン車でも、燃費向上のための部品の進化などを達成できれば、まだまだ、有効と言えるだろう。たとえば、油圧系部品でモータを組み込み小型化すれば、更なる燃費の改善を狙える」。
- では、EV化の点はどうだろう。
- 「ブレーキなど、機能的にあまり変わらない部品もあるが、現段階では、EV化の方法が確立されている訳ではないため、未知数も多い。電気で動く、電気で動かす部品への取り組みが、今後、どのように展開されていくのか。顧客が今後とも、完成車メーカーへのメガサプライヤーとして活躍し、新たな部品作りへの投資を実施していく過程で、当社は、ものづくりを進化させていくアイディアを提供できるようにしていきたい。ロボット、DX、IT、5G、スマートファクトリー・・・等のツールがあり、あとは人間の知恵を発揮して、最大の効果を出していくことが期待されるからだ。その一方で、電動化、自動化に限らず、世間に認められなければ、意味がないと言う現実もある」。
- コロナ禍の影響は、深刻さを増し、緊急事態宣言の対象エリアも広がりつつある。
- 「愛知県も14日から緊急事態宣言の対象地域となった。どんな規制が発生してくるのか。客先訪問はどうなのか。まったく予断を許さない」。
- 今年の干支は丑年。これに因んで羽賀社長は「辛丑(しんちゅう)–今まであったものが滅んで、新しい地中にある、次のものが育ちつつある」思いを託す。
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- 羽賀会長配信発言要旨
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- 2020年はコロナによる混乱の極みだったが、これからは、ワクチンが接種され、治療法が確立され、ニューノーマルの時代がやってくる。 自動車部品産業は2018年をピークに落ち込んだが、大方の意見では2022年、悲観的に見ても2024年までには正常に復すると言われる。
- 100年に一度の大変革が迫っており、我々の顧客は目の前ではなく、将来を見据えた投資という大きな負担を強いられている。EV化によって、無くなる部品点数を見て私はショックを受けた。その部品点数の推移を見越して、アイシン精機とアイシンAWの合併の流れがあると考えるとわかりやすいだろう。我々の顧客の売り上げを合算するとざっと13兆円あるが、私の経験上、不況になっていけば、強い会社がマーケットシェアを取ることになる。
- 東陽は、国内外に54カ所の拠点を持ち、1300人の従業員を抱え、業界で最強の位置を占める、頼れるパートナーとして、今後とも精いっぱい努めてまいりたい。
羽賀会長