「金属3D造形近未来プロジェクト」が発足。栄工舎新潟工場。通常のプログラミングを3Dに応用、工具造形が可能に
金属3Dで試作された工具を手に持つ浅沼課長
- 栄工舎新潟工場を訪問し、星野工場長との面談後、近未来の栄工舎の工具づくりを模索する「IT課」が昨年7月に創設されたことを知った。2月号では、新潟工場の置かれている現況とともに、工具づくりの新たなトライアルについて、責任者を務める浅沼明彦IT課長にインタビューを行い、紙面化することにした。
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- 受注ベースでは昨年の7月に底を打ち、以降、緩慢ながらも、回復傾向を辿ってきたと言う。
- 「用途別リーマや被削材別カッターへのリピートも発生してきたが、量的対応では、時間的に余裕があるなか、新たな商品開発に注力してきた。映像での確認やデータ取りのほか、外部へのテスト依頼も実施し、トライアルを展開している。また、コロナ禍において、特殊工具の短納期化を達成し、顧客から喜ばれるようになってきていることも付け加えたい」と星野工場長は語る。
- 見える化の流れだが「ひとつには、これまで営業と生産管理で使用していたデータ集積システムだが、今では、どの工程に何の製品が、どれくらいあるのか、各工程・営業所も含め誰もが社内開発プログラムを通じて把握できるようになっている」そうだ。
- さて、ここで、近未来の工具づくりについて、浅沼IT課長の登場である。このセクションは、3年後、5年後、10年後を見据え、ものづくりのあり方、管理の仕方を模索し、現実化していくのが主な仕事だという。その一環として「積層造形、いわゆる金属3Dを活用した工具づくりを、産官学連携で地元新潟の産業界をバックアップする、にいがた産業機構と連携しながら、『金属3D造形近未来プロジェクト』を創設して昨年7月から進めてきた」そうで「通常のNCを駆使して製品化していくプロセス、それぞれのプログラミングを3Dで表現していくことになる。CADがわからない人でも、パラメーターを入力するだけで工具を造形できるようになる、体制を構築していきければ」と意気込む。
- 因みに、金属3D造形は、ハイスでも適用可能だそうだ。
- 「フィンのような、入り組んだようなものや多重の刃を付けたりもできる。形状的に今まで形にできなかったものができるようになる。結果、従来よりも工具寿命を伸ばせるような試作づくりが始まった」。
- 3D金属造形の適用は、工程で追えば、材料から旋削、フライスまでの、熱処理前まで活用できるそうだ。
- 「データの活用さえできれば、金属3Dは、人を選ばない。ここに大きなメリットがある。試作の可能性が一段と広がり、日ごろの、ちょっとした着想が新たな工具づくりへと発展していく可能性が高まっていく」。
- そう言って浅沼IT課長は微笑んだ。
栄工舎マスコット、プロスパー君
試作品1&2
誰もがトライできる環境づくりへ