半導体製造装置メーカーから10年以上、高評価請けるユキワ精工ユーザーの「伸展テクノ」。
和田社長
- 伸展テクノの現場に足を踏み入れると、機械設備はすべて松浦機械製であることに気づく。
- 和田展行社長は「血筋を追っていくと、福井県の出身だったことから、松浦機械を身近に感じる一方、精密な機械づくりで一目置かれる存在としての魅力にも惹かれるものがあった」と語る。
- 昭和45年に和田社長の父親が創業し、汎用のフライス盤を使って生計を立てていたが「およそ30年前『修行先から戻り』バブル絶頂期に入社した私は『もはや汎用機の時代ではない』と判断し、手狭だった大阪市生野区の創業の地から現在の地に移転を決めると同時に、松浦機械のマシニングセンタを導入した」と言う。
- 切削加工を軸に、幾多の変遷を経ながら、現在は、奈良にある半導体製造装置メーカーから受注する、シリコンウエハーのテーブル関連の仕事がメインで、付随して真空チャンバーも手掛けている。
- 「コロナ禍とは言え、昨年、2020年は4月までは多忙を極め、2019年と比較しても、売り上げは結果的に多かった。ただ、5月以降はコロナの影響が出始め、1ロット=1個という単品がほとんどとなり、多数個取りは皆無に近い状況となっていった」。
- 受注するウエハーの直径は250ミリ前後だが、なかには300ミリ以上のウエハーのテーブルもあるそうだ。
- 最近の設備導入では、真空チャンバー本体の仕事の受注やウエハーのテーブルの多数個取りに対応するため、2016年、2019年と相次いで松浦機械の「VX1000」を現場に据えている。
- 「受注総量が落ち着いているため、ポストコロナを見据えた、社員教育を含む準備としても活用している。たとえば、加工プログラムは、私が行っているが、それ以外は、スタッフが機械を選定して、考えを凝らし、自ら工夫を重ねながら活用している。目に見えない財産が生まれてくることを期待してもいる」。
- ユキワ精工のツーリングとの出会いは、松浦機械のマシニングセンタ導入時と言うから、およそ30年前に遡る。
- 「アルミ加工では、ツーリングの振れ精度が何よりも影響が大きい。たとえば、ハイブリッドG1チャックは、高速仕様で、液晶のテーブルに径0・3ミリの貫通穴を7000個開けても大丈夫。事前の細穴加工でテストしたところ、他社製と比較検討し、最後まで残ったのがハイブリッドG1チャックだった。安定した振れ精度は、ドリルの刃先の摩耗の安定にも繋がる」と言う。
- 松浦機械からもサンプルが欲しいと頼まれるそうだ。因みに小径ドリルは三菱と不二越の使用が多い。
- 「一方、エンドミル加工では、スーパーG1チャックを選ぶ。振れ精度の良さは、ビビり音が小さく、良好な面粗度にも貢献する。私見かも知れないが、(ツーリングの)テーパーの精度がいいと、加工の安定さに直結すると思う」。
- 和田社長のツーリング選定では、各社のパンフレットを取り寄せたり、展示会に足を運んだりするが、最終的には試削りして良かったら使うと言うスタンスだ。
- 「ユキワ精工のツーリングで昨年から注目しているのが、スーパーG1チャックアドバンス。ロックナットに溝がないため、高速回転させても、切削液が飛散しにくいという利点がある。形がシンプルなため、振れの良さにも繋がる。今後は、アドバンスも計画的にラインナップしていきたい」。
VX1000を操作するベトナム人実習生のタイン君
小径ドリルがハイブリッドG1チャックに装填された